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タイミングを見計らって進んでいく最前の彼女。
ほかのメンバーも頑張ってアピールし終わった後に目の前へとしゃがみ込んだ。
目を見て歌を歌って、手からするりと抜き取ったペンライト。
まるで演出かのようそれを持って席を離れた。
重ねた手のひらから感じたひやりとした感触。
指輪、かな？日本の女性にとって左の薬指は大切な人がいる証なのでは？と思ったけれど俺もしてるし、ファッションかもしれないよな。
スタッフにペンライトを渡して、慣れない日本語を添えた紙とともに渡してくれるように頼んだ。
物怖じしないどころか嫌そうな顔をする彼女に、少し興味が湧いたんだ。
無事に公演を終え、ペンライトの行方を気にしたけれど、ちゃんと渡してくれたと言っていたし連絡を待とうとスマホを肌身離さず持っていることに。
しかしながら、一向に連絡は来ず。
会場はすっからかんになって、スマホくらい見るだろうと思っていたのに。
いつもこんなことしてると思われたとか？
しないよ、初めてなのに。
ショック、と思いながらも移動の時間も迫っているし、仕方なく立ち上がった。
「‘’ヒョン連絡きた？”」
「‘’いや…って、なんで知ってんの。”」
「‘’ヒョンのやることくらいお見通しなんだけど。ま、どんまい。また来てくれるといいね。”」
お前だって散々ファンサしたりして気を引こうとしてたじゃないか。
「‘’あの子綺麗だったねぇ。”」
「‘’まぁ、うん。そうだね。”」
ヒョンまでそんなこと言わないでよ。
悪のりなだけだと思ってたのに。
「‘’あぁ、また来てくれないかな。それじゃ今度はぼくが連絡先渡すのに。”」
「‘’テミナとミノはだめ。カモフラ下手くそだったし、絶対SNSに何か書かれるよ？最悪あの子の悪口だって。”」
キボムの見通し能力に思わず感服してしまった。
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作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
