◎49 ページ49
.
年が変わってすぐ、Aに連絡をしたけれど、なんとなく、ちゃんと声を聞いて言いたくなった。
思い立ったが吉日。
すぐにスマホを手に取り、Aとのトーク画面から通話ボタンをタップした。
リズミカルな音がしばらく続く。
お正月だし、もしかしたら御家族と一緒なのかもしれない。
ちょうど、夕方だし。
晩御飯の用意や、買い出しや、もしかしたら甥っ子とか姪っ子とか居るんだったら遊んであげてるのかも。
まぁ、いいか、と切ろうとしたら、いつも通りの声が聞こえてきた。
「“もしもし？ごめんね、忙しかった？”」
「“ううん、大丈夫。どうしたの。”」
「“Aが、寒くなってないかなと思って。”」
「“ふふ、ありがとう。こっちはねぇ、凄い寒いよ。ジンギは？寒くない？”」
「“僕のところもすごく、寒い。Aが寒くなったら飛んでいくって言ったけど、僕が来て欲しいくらい。”」
「“はは、いつか、行くよ、私が。その時は、案内してね。”」
「“もちろん。あ、そうだ、あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします。これが言いたくて。実家帰ってた？邪魔してたならごめん。”」
「“今年は、帰ってないんだ。遠いから面倒になっちゃって。ウタさんの家で、年越しお泊まりしたよ！”」
ジョンヒョン…かどうかはまだ、分からないけれど。
なんとなく、仲良しのふたりがむかつくなぁ。
年越しお泊まりってなに？それって、普通カップルとかがするんじゃないの？
僕はした事ないけど！
「“来年は僕としようね。”」
「“鬼が笑うよ〜こんな、元旦から来年の話なんて。ウタさんが退屈するから切るね。”」
「“なんだよ、ウタさんウタさんって。付き合ってるわけ？”」
「“そんな訳ないでしょ。風邪ひかないようにね。暖かくして。私が行くまで、寒さでどうにかならないでよね。”」
「“本当に来てくれる？”」
「“私は珍しいタイプなんだけど、暇と金がある！”」
言いながらAが笑うから、つられて、何それぇ？って、笑いが出てしまった。
今度、日本へ行く時は、ウタさんに、会いに行こうかな、僕も。
いつになるかは分からないけれど、少しづつ手探りで。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
