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ジンギの隣はとても暖かい。
少し肌寒くなってきたこの季節に、とてもよく合う。
物理的だけではなく、一緒にいると、声を聞くと、笑顔を見ると、落ち着くしじんわりと胸の内が暖かくなるような気がする。
「“僕は、Aが好きだよ。見た目も、少ししか知らないけれど、僕が知りうる限りのAの事が、好き。”」
「“なに？急に。私もジンギが好きだよ〜。一緒にいると暖かい。”」
「“付き合う？僕たち。”」
「“付き合わない、私たち。”」
そっかあといつもの顔で笑うジンギ。
好きは好きでも、恋愛にはなり得ない。
なっては、いけない。
私はもう、誰も好きになったりしない。
煙草を取り出して、口に咥えると、隣から慣れたように火をつけてくれる。
「ありがとう。」
「僕も、ちょうだい。」
数本残る箱を手渡すと、抜き取って、咥える。
「ん、」
こちらに突き出す煙草に火をつけてやった。
ふわふわと漂うふたり分の紫煙。
誰かがいることに馴染まないのがなんだか面白くて笑うと鼻から煙が出て。
また、ふたりで笑う。
「ジンギはお日様のように暖かいね。」
「Aは、ひまわりみたい。」
「……あなただけを、見つめます。」
「ん？」
「“韓国にもあるかな…あるよね？花言葉。”」
「“あぁ、うん。あるよ。ぴったりじゃない？夏生まれだし、ひまわり。”」
あなただけを見つめます。
そんな花言葉にすら縛られてしまう。
あなただけを、見つめています。未だに。
「“今日、一緒に寝てもいい？”」
「“なんで。”」
「“とても、寒いから。”」
短くなった煙草を灰皿へ押し付けて、ひとつ頷いた。
嬉しそうに頬へ手を伸ばされ、どうすればいいのか分からなくて。
どうしようもなく、ただ、困ったように笑うのが精一杯。
「“友達、だから。”」
「“知ってるし、わかってるよ。僕たちは、ただの友達。でも寒いからって同じ布団で眠るような、ね。”」
「“ふふ、そうだね。”」
少しだけ詰めてきた距離を見て見ぬふりして。
ただ、寒いから。
仕方のないことだ、と。
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作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
