◎4 ページ4
.
会場を映し出すモニターに映る一人の女性。
何故か周りにペコペコ頭を下げていて、たまたま知り合いがいたとか？と思っているとスタッフのマイクから音が拾われていて。
最後に熱く握手まで交わしている。
一人で食い入るように見ていたのだけれど、いつの間にか背後にいたキボム。
「‘’えぇ、170cmだって。ヒョンと変わんないじゃん。”」
「‘’うるせぇ。171だ！”」
「‘’に、しても、こんな律儀な子が居るんだねぇ。初めてかな。”」
「‘’見たことないから新しいファンか連れてこられただけか。”」
「‘’ペンライトは持ってるけどうちわは持っていから誰のファンかも分からないね。”」
キボムと二人モニターを眺めていると、なになに？と皆が寄ってくる。
「‘’凄い美人！”」
「‘’でも身長170だよ？”」
「‘’じゃあ俺と並ぶと良いくらいだな。”」
「‘’ボクとオニュヒョンもいい感じなんじゃない？テミナとジョンヒョニヒョンはヒール履かれたら死ぬけど。”」
「‘’死なねぇよ！”」
今からステージに上がると言うのにどこか間の抜けた会話だ。
スタッフに声をかけられそれぞれの位置につくメンバーたち。
サブステージの最前だったな、確か。
一度きちんと見てみたい。
好奇心でいっぱいだし、連れてこられただけでも、ファンになってもらいたかった。
暗転したステージ。
モニターにオープニング映像が流れ始め、テンションが上がっていく。
今か今かと待つファンの圧を、早く俺も全身に浴びたくて。
全部受止めるつもりで息を長く吐いた。
ステージへ上がりたくさんの歓声を浴びながら視線は会場を見渡す。
繋ぐ通路を進み、目をかっぴらいて一人だけじゃなく全員を焼き付けるように。
気持ちがいい。気分が高揚する。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
