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私が外側でいいよ、と言ったのだけれど少しでも推しの近くがいいからここでいい！と私の左側にアスミ、右側にほぼステージ。
好きなところに居てくれたらいいけど、と腰を降ろし後ろ、斜め後ろの方を待つ。
10分ほどあとに誰かが座る気配がして、むくりと立ち上がった。
「すみません、私この通り少し大きめの170cmでして、後ろの方は見えづらいことが予想されます。なるべく私は左側に居る友人の方へ寄りますので、間を縫って見ていただければ幸いかと思います。邪魔な場合は背中を叩いてくれても大丈夫です。また、こんな良席なのに、最前のクソでけぇ女のせいで見えない、等の苦情はSNSに書き込まないでください。すみませんが、よろしくお願いします。」
呆気に取られる後列の方々。
いや、でも嫌じゃん？
仮に私でも好きなアーティストのライブで目の前が180以上ある巨漢だったら嫌だよ？なんだこいつ？って速攻で呟くよ？
「あの、ありがとうございます。」
深く下げていた頭を上げると後ろの女性が声をかけてくれて、周りの方は声を出して笑っている。
ここのグループのファンの方たちはとてもいい子なようで。
アイドルはやめといて私と付き合わない？と思わず口走りそうなくらいだ。
「楽しみましょうね。」
まるで戦友かのように熱く握手をして、再び席へと腰掛けた。
「ごめんね、恥かかせて。」
「いいよ、Aのそういうバカなとこも好きだから。」
「バカじゃないよ、酷いなぁ。って事でアスミ推しかのようにぴっとりくっつくけどごめんね。」
「いいよ、誘ったの私だもん。」
そう言って手製うちわを取り出すアスミ。
「キスして？私がしようか？」
「お前じゃねえよ！？」
華麗なツッコミを貰っているとまたもや笑い声が聞こえて。
笑かしてるのか笑われてるのか、とても気になるところだ。
ファンの方たちは場内アナウンスにもキャーキャー、暗転にもキャーキャー、急に騒がしくなってきた。
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作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
