purple 04 ページ5
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気がつけば、教室に残っているのは私だけ。
カーテンから見える空は、オレンジと藍色が混ざり始めている。
「あれ、A?」
やっとのことで最後から二番目の問題が解けそうになってきた時、いきなり掛けられた声にびっくりして顔をあげると、
「っえ、風磨先生?!」
そこには、クリスマスの今日1番会いたかった人。
「なんでいんの?」
「なんで、って、居残り…」
「中島先生の?」
「うん、テスト悪かった人はプリント終わらせてから帰れって」
「…中島、今帰る用意してるけど」
「は、?……まじ?」
「マジ、笑」
ありえない、中島先生。
生徒置いて自分だけ帰ろうとするなんて。
すると風磨先生は、私の前の席に座って私の方を向いた。
「で、終わりそう?それ」
「あとちょっと、」
「付き合うよ」
いつもより近いキョリに、心臓がばくばくと音を立てる。
私だけがドキドキして、風磨先生はそんなのなんにも知らなくて、教えてくれる声もぜんぜん頭に入らなくて。
好き、が加速する。
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作者名:な な 。 | 作成日時:2018年12月16日 21時