purple 02 ページ3
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風磨先生は日本史の先生で、放課後はいつも社会科準備室に居るから、私は毎日風磨先生目当てでここに来る。
勉強、なんて言ってここに来るけど、実際勉強してるのなんてテスト期間くらい。
「聞いてくださいよ〜」
「数学だろ？笑」
「風磨先生知ってるんですか？！」
「俺の情報網なめんなよ？」
「中島先生と仲良いだけじゃないですか」
「ふはっ、まあな。中島先生ボヤいてたぞ？Aがなかなか赤点から脱出しないって」
「風磨先生に筒抜けなんですね、私の成績…」
結構恥ずかしかったり。
「教えてくださいよ、数学」
かちゃかちゃとパソコンをいじる風磨先生の横顔がかっこよくて、好き。
作業が終わって、くるっと振り向いて私の顔を見てくれる、風磨先生の笑顔がかわいくて、好き。
「なんで俺なんだよ、笑」
「風磨先生、かしこいから」
「中島だろ？担当」
「そうだけどー、」
いつも生徒の前では教師としてきちんと先生を付けて呼ぶけど、普段は仲の良い中島先生のことを、中島と苗字で呼ぶのは、私の前でだけなのかな、と勝手に嬉しくなる。
ちょっとだけ、素を見せてくれてるような感じがして、
でも多分私だけじゃないんだろうな、と次は勝手に落ち込んだりする。
「どれ、どこがわかんない？」
「え、ほんとに？！」
「中島が泣くからな、特別だぞ」
「中島先生のためなの、やだ、笑」
「ほら、はやく見せてみ」
優しい声が、表情が、たまらなく胸を苦しくさせた。
どんなに想っても届くことのないこの気持ちは、きっと気づいてももらえない。
また私は必死に知らないフリをして、溢れないように踏ん張るんだ。
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作者名：な な 。 | 作成日時：2018年12月16日 21時
