病気 (ページ15)

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薮君が、病室をノックした。

薮「大ちゃん、入るよー」

有「どうぞー」

なんだ、思ったより明るそうだ。

全「おじゃましまーす。」

有「はーい。お疲れどうだった、振りのほうは？」

「もう、超大変。足がうまく動かないよ」

俺がつい、本音で答えたから、有岡君に笑われてしまった。

だけど、良かった。有岡君が笑ってくれて。

大丈夫そうだ、そう思えた。

思ってしまった。

こんな言葉が出るとも知らずに。

有「俺はねー、病気について詳しく教えてもらったよ。スキルス胃がんって言う末期の癌だって。
　さっきみんなが来るまでに調べたら、5年生存率は１０％もなかった。先生も俺の体はもってあと、半年だって言ってたし。」

有岡君はなぜか笑顔で言った。

全「え、、」

信じられなかった。

信じたくなかった。

ずっと一緒にいると思っていた、仲間が後半年で死ぬかもしれないなんて。

裕翔が恐る恐る口を開いた。

中「助かる方法はないの？」

有「今の医療技術じゃ無理だって。」

知「そんな、じゃあどうすれば、、」

有「しばらくは抗がん剤治療と痛み止めで進行を遅らせてみるって。でも、俺の場合は胃の
　そこらじゅうに転移が見つかってるから気休め程度らしいけど」

そういって有岡君は自虐的に笑った。

俺たちは笑顔どころか、言葉すら出なかった。

あの後有岡君は、

有「今日はもう休んだら？みんな踊って疲れてるんだから。」

とか何とか行って俺らを病室から出した。あんな話を聞いてでも病室にいられる自信は

俺らにも無かった。

帰りの車で光君がか細く行った。

光「あいつ、なんであんなに笑っていられるんだよ、、、」

みんな分からなくなっていた。

心から笑う方法が。