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「有馬さーん。いますか?」
ノックしながら聞くと
「あ!Aちゃん?どーぞどーぞ〜!」
という声が聞こえてきた。なんというか、軽い。ものすごい軽い。
まぁ、有馬さんの真面目な低い声は少し苦手なのだが。
中に入ると笑顔を崩さない、いつも通りの有馬さんがいた。
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勘久郎君に相談されてすぐに彼女を呼び出した。
なんといっても彼女に感情が見られないなんて言われたら放っておける筈がない。
彼女にはしっかりしてもらわないと困るのだ。
それは、彼女の為であって勘久郎君の為である。勘久郎君の封印を解くのに今一番キーになりそうなのは憲剛君かAちゃんだ。
確りしてもらわないと困る。
「どぉーお?怪我少しは治った?」
彼女の反応は...
笑顔だった。
「はい。少し治ってますよ。多分そろそろ大丈夫だと思います」
「そっか〜。あ、勘久郎君とはどう?...色々と大丈夫?」
これはどうだ。今の彼女に一番効くのはこの質問だろう。
しかし、
「勘久郎、ですか?大丈夫ですよ」
笑顔だった。
笑顔を浮かべていた。
こりゃ、勘久郎君も心配するわ。言っていたことを改めて理解する。
勘久郎君の言葉は大袈裟なんかじゃなかった。
...少し、甘く見ていたかな。
「ねぇ、Aちゃん?今、何か面白い事、あるかな?」
彼女は真面目な雰囲気が苦手だったように思う。
今はそれを最大限に使わせて貰おうじゃないか。
「面白い事?特にないですけど」
「そ、じゃあ何で今笑ってるの?」
「笑ってちゃ駄目ですか?」
「そうとは言わないよ。ただ少し気分が良いものじゃないかな」
「私が笑ってると気分が悪いですか?」
「そうだね。その笑いは嫌な気分になるね。君のその作り笑いは」
「どうゆうことですか?」
無自覚。自分が作り笑いをしていることも、感情を無くしていることも無自覚だ。
このままじゃあ、まず話すら始められない。
じゃあ、自覚して貰わないとね。
「君、一度笑うの止めてくれないかな」
「ぇ...?」
そんな小さな呟きと共に表情が少し硬くなった。しかし、まだ笑っている。
「笑わないで、くれるかな?」
そう言うと表情が変わり、笑わなくなった。
無表情。
僕に、出来るのはここまでかな...
「そう、じゃあもう戻って良いよ。」
「はい。それじゃあ」
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有馬さんside難しかった...
かんばる!
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水麟 - 紅 こべにさん» ありがとうございますっ!凄く嬉しいです!(満面の笑み) (2019年5月3日 16時) (レス) id: 65c8c71a9b (このIDを非表示/違反報告)
紅 こべに - 面白すぎませんかこういうシリアス大好きです(真顔) (2019年4月27日 6時) (レス) id: 64e65a2b60 (このIDを非表示/違反報告)
水麟 - おりんさん» ありがとうございます!嬉しいの一言です! (2019年4月1日 19時) (レス) id: 0dc0777a12 (このIDを非表示/違反報告)
おりん - 水麟さんの作品は全部好きやなぁ…(キラキラ) (2019年3月30日 11時) (レス) id: be6cccc8ca (このIDを非表示/違反報告)
おりん - え、何これメチャおもろ (2019年3月30日 11時) (レス) id: be6cccc8ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水麟 | 作成日時:2018年11月14日 16時