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桃side
コンサート自体は滞りなく全行程を終えて大成功で終えることが出来たが、代わりに重岡の足首はやはりと言うべきか、悲鳴を上げた。
ダブルアンコールまでを一切のミスなくきっちりとこなした重岡はステージ上から捌けた瞬間にその場に崩れ落ちたのだった。
咄嗟に小瀧が抱き留めたおかげで足首以外に怪我は無かったが、重岡は冷や汗をたっぷりとかいて苦痛に顔を歪めていた。
神山が重岡のズボンの裾をめくり上げた瞬間、誰もが息を飲んだ。
――しげのあほ、、じゃないけど、やけど、あほや。
目を背けたくなるほど腫れ上がった足首、いつも白いそこは紫色に変色をしており明らかにダンスなど出来る状態では無いことは明白であった。
それでもいつもと変わらない笑顔でやりきったのだから重岡にはすごいとしか言い様がない。
でも、自分をもっと大切にして欲しい。
その思いを、小瀧は自分の中にぐっと押さえ込むことしか出来なかった。
重岡は検査もかねて一日ほど病院に居たが、翌日には変わらぬ笑顔を携えて楽屋へと姿を見せていた。
いつもは濱田にちょっかいをかけたり、神山に甘えたりなんやりしていたけれど、仕事が一緒になる度に、重岡に付き纏っては不便そうな姿を見かけるより早く、小瀧は重岡の世話を焼きに走り回っていた。
赤「こたき〜そこまでしてもらわんくてええって」
重岡に眉を顰められながら告げられて、小瀧はソファーに座る重岡の前に跪くような姿勢のまま視線だけを重岡へ向ける。
桃「人にやってもらう方が綺麗にできるやろ。それにお前より俺のが器用やし」
赤「ん〜?そうかな〜。やけど別にさ、俺は小瀧に自分のせいやって罪悪感みたいなん持って欲しくないんやけど。やってあれは俺の役目やったやろ?」
そう重岡が告げた言葉は、小瀧にもしっかり届いていたが、それに返事をすることはしなかった。
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りく(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして!ありがとうございます^^なるだけ温かい雰囲気にしたかったので、嬉しいです。短編集の方も感想いただいていて、とっても嬉しいです!またぜひ読んでください^^ (2022年2月11日 0時) (レス) id: d55341bf94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 初めまして!とても読みやすくて一気に読んでしまいました!言葉一つ一つが優しくて読んでいてとても気持ちよかったです。是非他の作品も読んでみたいので、新作楽しみに待ってます! (2022年2月10日 18時) (レス) @page35 id: 44583c8f5b (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして^^想像を膨らませるのが苦手で、ついつい細かく書いてしまったのですが、そんな風に言っていただけて嬉しいです。またちょこちょこ書き進めているものがあるので、良かったらぜひ、読んでください!ありがとうございます! (2022年2月9日 11時) (レス) id: d55341bf94 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。こちらのお話最後まで楽しみに読ませて頂きました。描写が繊細で展開も気になりつつ最後には温かい気持ちになる素敵なお話でした(*^^*)私も愛される赤さんが大好きなので、また違うお話書かれるようでしたらぜひ読ませて頂きたいです✻ (2022年2月8日 22時) (レス) @page35 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - ナツさん» ナツさん!素敵なお話なんて、、嬉しいです、ありがとうございます^^! (2022年2月8日 20時) (レス) id: d55341bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2022年2月4日 17時