【BL】僕と契約したSランクの守護神が、性格がドSの疫病神だった件。【オリジナル】 (ページ11)

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｢ヴァル…?｣

｢おう。ヴァルだよ｣

少し振り返って、にこりと微笑む。

｢ほ、本当に…守護神だ……｣

｢嘘だろ…｣

｢…にしても。

人の主(あるじ)を窃盗犯呼ばわりとは…

言ってくれるじゃねぇか、おい｣

急に声のトーンが低くなる。

｢手足の1、2本、覚悟しろよ…｣

ギチギチと、拳を握り締める音が聞こえた。

｢ヴァ、ヴァル!!落ち着いて…｣

僕がそう言うも、ヴァルは怒りを沈めない。

そして、陽が作った自身の影に手をかざすと、

その影から、大鎌を創り出した。

何とかして止めなきゃと、考えを巡らせていると、

顔からそんな心情が読み取れたのか、

僕の方を一瞥すると、ふっと吹き出した。

｢……なんつってな。

俺は無駄な殺しは嫌いなんだよ。

最も…お前みたいな屑を殺る無駄な殺しはな。

ほら、さっさと失せろ｣

鎌でちょいちょい、と撤退を促した。

当然、2人はそれに従うわけで。

｢ふぅ……いやぁ…主、危なかったなー｣

途端、にこにこと笑いかけてくるヴァル。

安心感と、罪悪感が、僕の涙腺を壊した。

｢うっ、うぇ…ぅ…ヴァルぅぅ……!!｣

｢うおい…?!な、泣くなよ主ー…｣

｢ご、ごめ…なさっ……ひと、りで……かっ…てに…!!｣

｢ほら、泣くなって。…よしよし｣

ヴァルのロングコートに包まれるような体勢になり、頭を撫でられる。

本当に…嬉しかった……。

｢窃盗犯じゃない｣って…そう言ってく───

………あれ?

｢ね、ねぇヴァル…｣

｢お。落ち着いたか。……んで、何だ?｣

｢何で僕が窃盗犯って言われたの知ってたの?｣

｢そりゃまぁ、見てたから｣

そう言って、

先程飛び降りてきた民家の屋根を指差す。

｢……え｣

｢いやー主が店出てった時から、

ずーっと上から見てたんだけどよ。

あの2人組に凄まれてる主が、

ずっと見てられるぐらい最高でさ……。

中々出て行けなくて。

怒りより幸福感が勝ったとい──｣

｢やっぱり契約破棄してもいいですか!?｣

｢だめー。…って、また敬語使ってんぞー｣

神様……。

僕、道を間違えた気がします。