伍【今剣・極】（漢字注意） ページ10
ぼくは、あるじさまが初めて打った刀。そして、あるじさまは、ぼくの唯一の使役者であり持ち主。
だから、ぼくは何があっても彼女についていきます。たとえ、それが地獄の果てだとしても。
＊＊＊＊
ぼくから見た彼女はまだまだ幼い子供です。けれど、平安の世ならすでにお嫁に行ってもおかしくない年。
そんな彼女が、自らの兵に裏切られた。これは由々しき事態です。理由はわかっています。
彼女が、歴代の主に比べて、あんまりにも幼く、自覚がないのです。
だから、ぼくらが。
＊＊＊＊
本丸を奪われた日のよる、やまんばぎりと相談をしました。
行灯は煌々と灯っています。
「やはりじかくのふそくがげんいんでしょうか」
「そうだろうな。明日から教育が必要だ。…お前は、飴の役をやってくれ。俺が鞭をやる」
「…そんなの、やまんばぎりは、あるじさまに、」
「だからだ。これは、罰なんだ。こんなことになるまで、主を守り甘やかすばかりだった、俺への」
「それは、ぼくもですよ。…わかりました、ぼくはあめですね。やまんばぎり、ごめんなさい」
「いいんだ。そうと決まれば、お前は主のところへ行け。俺は明日からの身の振り方を考える」
彼がそう言ったとき、あるじさまの影が部屋の前を通りました。なきぎつねも一緒でした。
あの方面は、確か厨です。悪夢を見たふりをして、起きてしまったふりをして、あるじさまのもとへと向かいましょう。
あめとむち。教育するときに大事なものです。僕はあめ役。だから、あるじさまを頼って、甘やかします。
やまんばぎりを、嫌われ者にしたくはないけど、しかたありません。
このうしろめたさと、どこか喜んでいるみずからの浅ましさを自覚したこと。
それがきっと、ぼくへの罰。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名狐(プロフ) - 夕月 刹那さん» わ！良かった！そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2018年5月30日 15時) (
レス) id: 19251f6155 (このIDを非表示/違反報告)
夕月 刹那(プロフ) - これ、私の好みドストライクです！次の更新が待ちきれない、、、！ (2018年5月29日 19時) (レス) id: 87fbf3b4b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名狐 | 作成日時：2018年5月23日 22時
