弐【三日月宗近】 ページ4
我が主は、人と話すのが苦手だった。
決して悪いやつではない。ただ、話すのが苦手だったのだ。
＊＊＊＊
「なあ、見習い、どう思う？」
和泉守が俺の部屋に来るなりそういったのも無理はない。
「胡散臭いな」
「やっぱそう思うか…」
あー、とうめきながら彼は横たわる。涼やかな風が頬を撫でる。
「あのな、俺、主を裏切ろうと思うんだ」
ぐったりと横たわったまま、世間話の延長のように言われたその言葉に、思わず本体に手を伸ばす。
「ああ、そうじゃない。ただ、もうあの主に仕えたくはないだけだ」
「ほう」
警戒はしつつ、話に耳を傾ける。彼はけだるげに目を閉じ、諦めたように話す。
「せめて、主からの指示が欲しかった。こっちを見てほしかったんだ。…なんか、加州みたいだな」
「ああ。わかるぞ。我ら付喪神は、信仰心で成り立っている。偽りでも、それらを与えてくれるなら、そちらに行きたくなるだろう」
「やっぱそうだよな。…でも、あいつが頑張ってるのは知ってるんだ」
「なあに、俺達の代えはいくらでもいる。そうだな…もし見習いが夜這いを仕掛けてきたら、その時は見習いにつこうか」
「ああ」
世間話の体を保っていた、はずだった。千年生きてもわからぬものはわからない。だから俺は賭けにでたのだ。
見習いが夜這いを仕掛けてきたのは、それから三日後のことだった。
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匿名狐(プロフ) - 夕月 刹那さん» わ！良かった！そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2018年5月30日 15時) (
レス) id: 19251f6155 (このIDを非表示/違反報告)
夕月 刹那(プロフ) - これ、私の好みドストライクです！次の更新が待ちきれない、、、！ (2018年5月29日 19時) (レス) id: 87fbf3b4b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名狐 | 作成日時：2018年5月23日 22時
