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05. ページ6

▽▲▽




「A」

「……」



ぶちっ。



「え? インターネット回線切れたんだけど!?」

「僕が切った。呼びかけても返答しなかったから」



"オフラインです"と表示される
スマホから顔を上げて、
キッと僕を見上げながら睨むA。

しばらくして睨むのをやめて、
ふにゃっとしたいつもの顔に戻る。


「切られたのはムカつくけれど、これは返答しなかったわたしが悪いか。……で、なに?」

「流石に引きこもりすぎでしょ。高校生になってから、どこかに出かけた?」

「学校」

「うん、それは出かけたとは言えないんだよね」



JKなら制服デ○ズニーとか行きたがるのに、
と思わず零すと、



「……制服で遊ぶとか、興味無いんだよね」



あは、と乾いた声で笑うA。
僕はため息をついて、
ずっと後ろに回していた手を見せる。

2枚の紙。



「映画の、チケット?」

「そう。貰ったんだけど、兄さんは予定があって。仕方なく、ね?」

「え嫌だ家がいい」



Aは嫌そうな顔で枕にしがみつく。
Aのお世話係と化している僕は、
嫌がることは百も承知している。

何て説得しよう、と考えていると
ふとAが顔を上げた。



「あ、その映画って今流行りのやつ?」

「うん」

「よし乗った見に行こう」



え?
今なんて??

そこからのAは早かった。
普段の部屋着から、パーカーに着替え、
ヘアアイロンをあて、荷物を準備。



「え……え? なんで?」



混乱したまま呟くと
Aはキラキラした目で僕を貫いた。

普段のふにゃりとした顔とは違う、
とびっきりの笑顔。


……不覚にもきゅんとしたのは内緒。



「推しのアイドルが出るんだよー!! これはもう見に行くしかなくない!?」

「……僕のきゅん返して」

「? なんか言った?」



そうだった。
この子の原動力って
ネットとスマホと推しだった。

普段はぐーたらしているけれど、
スマホ忘れたら先日みたいに
家に取りに帰ろうとするし。



「……A、」
「そんなに推しって、すごいの?」



僕だって
君の原動力になりたいのに。



「うん! わたしの生きがいだし」

「……画面越しの人間が生きがいなんて、可哀想だね」

「ねえひどい!」



ちょっと言い過ぎたかな。
生きがいなんて人それぞれだから
僕に否定する権利なんてない。

でもね。
そんなに想われている画面越しの人が
妬ましい、って思っちゃうんだよ。

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楪 日織(プロフ) - さくらさん» さくらさん、コメントありがとうございます!! 前作も読んでいただけているなんて…全ての言葉が光栄で嬉しすぎます😭 引き続き頑張りますので、これからも応援していただけると嬉しいです~!🙌🏻 (6月16日 7時) (レス) id: ce3facaf56 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちはッッ!いつも見てます!!あなたは神ですか?夢主ちゃんと見てた映画に‥そのッッ「例え猫でも愛してやるよ。」の台詞がッッ無一郎くんの台詞がッッこれは感激してしまってコメントしましたぁこれからもガンバってくだせぇ😭(急な江戸っ子) (6月11日 20時) (レス) @page7 id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楪 日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/  
作成日時:2023年4月9日 19時

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