検索窓
今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:6,306 hit

04. ページ5

▽▲▽






「お……い!! 止まれ!」

「わっ」



廊下を走っていると
がしっと強い力で手首を掴まれた。

バッと後ろを振り返って見えたのは、
左右で色の違う綺麗な瞳。



「伊黒!? なんで追いかけてきたの?」

「甘露寺が"追いかける"というから、俺も追いかけたまでだ。勘違いするな。俺はおまえを追いかけるなど面倒くさいこと、出来ればしたくなかった」

「地味にディスられてる……」



そうしていると無一郎、
そして蜜璃が追いついてきた。

わたしを瞳に捉えた瞬間、
蜜璃はわたしを抱きしめた。



「Aちゃんにとって、スマホが大事なのはよく分かるわ。Aちゃんはスマホが生きがいなんだものね」



生きがいって言ったのはわたしだけど、
なんだか人に言われると虚しいな……。



「でも無言で帰っちゃうのはよくないわ! 帰るなら、先生に言ってから帰らないと!!」

「そこなの??」



相変わらず抱きしめる蜜璃の肩を
そっと押す。



「ん、大丈夫だよ。流石にまじで帰ろうとは思ってなかったし」

「信じない信じない、俺は信じない。俺たちが止めなかったら本気で帰っていたはずだ」

「それはそう」



蜜璃に抱きしめられたまま。
伊黒に手首を握られたまま。
乙女ゲーか何かかな??

ちらり、と視線を動かし目が合う。
いつも通り何考えてるのかわからない瞳と。



「……話は済んだ? ほら、さっさと教室戻るよ」

「辛辣すぎて泣くよ?」



とはいえ授業5分前。
そろそろ教室には戻らなきゃ。

戻るぞ、と優しく声をかける伊黒と
うん!!と笑顔で頷く蜜璃。
なんだとっととくっつけよ。



「戻らないの? 遅刻する気?」

「ちょっと走ったからしんどくて。すぐ戻るよ」

「おばあちゃんなの?」

「ピチピチのJKだよ!」



ふん、とそっぽを向くと、
くすくすと意地悪く笑う声。



「はいはい、いくよ」



優しい、ただひたすらに優しい声。
思わず顔を上げたと同時に、
わたしの足は踏み出した。



──さっき伊黒に握られたところと、
全く同じところに置かれた彼の手。

手首から感じる温度と感触。
無一郎が歩くと同時に動く自分の足。
目の前でさらさらと揺れる髪。




「……手、」
「なんで?」




こつ、と足音が止まる。
彼は振り向かないまま。






「……さあ。足りない脳みそで考えてみなよ」

「この昆布頭しばいていいかな」



……というかわたし、スマホないのに
どうやって情報の授業受けたらいいんだろう。

05.→←03.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

楪 日織(プロフ) - さくらさん» さくらさん、コメントありがとうございます!! 前作も読んでいただけているなんて…全ての言葉が光栄で嬉しすぎます😭 引き続き頑張りますので、これからも応援していただけると嬉しいです~!🙌🏻 (6月16日 7時) (レス) id: ce3facaf56 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちはッッ!いつも見てます!!あなたは神ですか?夢主ちゃんと見てた映画に‥そのッッ「例え猫でも愛してやるよ。」の台詞がッッ無一郎くんの台詞がッッこれは感激してしまってコメントしましたぁこれからもガンバってくだせぇ😭(急な江戸っ子) (6月11日 20時) (レス) @page7 id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:楪 日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/  
作成日時:2023年4月9日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。