なんでヒーローを目指すか ページ32
「私、兄貴がいんの。すっげえ口が悪くて怖くてなんでもすぐ出来て、個性も強烈。一言で言うなら才能マン。」
「くっだらねえ…」
「ふはっ、私もそうだったよ。あ、ほら今すっげえ爆発あったろ？あの黒い煙。あれが私の兄貴の個性なんだわ」
んで、私の個性はこれねとセリフとともに土に手をかざし、土をいろんな形に形成する。
ムスッ！と効果音が出てきそうなほど顔を歪めた洸汰に鼻で笑う。
「兄貴…勝己はさ…私のライバルなんだ。双子で、数秒違うだけで何も勝てない。ヒーローを目指してるのも流れみたいなものだよ。勝己がヒーローになるからじゃあ私も…みたいな…だから…すっげえ怖い…」
「お前…」
「おいおい…さっき名前教えてやったろ？私はちゃんと呼んでんだ。洸汰も呼べ」
「A」
「うん？」
「そんなに怖いならなんで辞めねぇんだ、そんなに嫌ならやめればいいじゃんか」
「ダメだよ、洸汰。だって私は守らなきゃ。怖くても守らなきゃいけない人がいるんだよ。兄貴も、友達も家族も。大切な人がピンチな時自分一人だけ逃げるようなクソみたいな人間にはなりたくねーんだ」
「やっぱり、馬鹿だよお前…」
「洸汰にもそう思える日が来るよ。」
「こねぇよ…」
「くるよ、絶対。もし来なかったら…」
「来なかったら…？」
「私が洸汰の大切な人になってやる。だから私がピンチの時は助けてな！そんじゃ遅くなるし帰んぞ」
立ち上がって体についた砂を落とす。
「あいつらと一緒にいたくねぇ」
ポソッといった洸汰に人の心は簡単に変わんないのだと感じる。
「でもずっとここにいたらお腹減んだろ。夕飯できたら持ってきてやる。」
「いらねぇ」
「A特製、カレースペシャル作ってきてやるから絶対食えよ！」
じゃあな！と言い残してものすごいスピードで坂を下る。
ちなみに私は練習していなかったことがバレて補習組と一緒に補習を受けた。
切島とは話さなかった。
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作者名：サワークリーム | 作成日時：2018年5月13日 16時
