朝練行くぞ！ ページ22
「起きろや！」
「んぁ、？！、ん！？なに！？え！？遅刻！？」
ジャージに身を包んだ勝己に夢の中から叩き起される。
とりあえず遅刻ではなさそうだ
「んっだよ！勝己！まだ寝れんじゃん！！」
時計の針が指すのは7時。
まだあと30分は寝れるはずなのになぜこんなにも早く起こされたのか訳がわからない。
「朝練忘れたんか！？」
「あ……着替えるから待って」
受験に向けて筋トレの時間を勉強に当てた私と勉強と筋トレ両方を両立していた勝己に遅れを取っていた。
だから昨日の夜朝練付き合わせてって言ったんだったな…
「てめぇ！部屋から出ろや！」
Tシャツを脱ごうとした手が止まる。
私と勝己の部屋は別室で隣同士。
今更裸を見られて恥ずかしいという訳では無いが、切島と付き合っているという事実になぜか目の前で着替えてはいけないのではないか？という考えが浮かぶ。
「はよしろや」
ぱっと振り返って自室から出ていく勝己にいやに引きがいいなと不気味に思いながら再びTシャツに手をかけた。
少しくたびれたジャージに腕を通し、早々に自室を出る。
両親を起こさぬように静かにけれども早く階段を駆け下りた。
「おせぇ！」
「いや3分も経ってないわ！朝練前と一緒？」
「おう」
私達の朝練メニューはとにかく走るのみ。
勝己が右に私が左に走って1周して家に帰る。
だから中間地点ですれ違う。すれ違うのが勝己よりだったり私よりだったりすっと、そのあとペースをあげる。
「いくぞ」
「よっしゃ！」
同タイミングで家を飛び出す。
まだ気温もそんなに高くなくてそよそよと吹く風が心地良い。
散歩をしている人達も少なくなくぶつからないよう気をつけて歩く。
「はっ、はっ、ッ、体力落ちてるな…うぉ、危な！！」
道から飛び出してきた女性に思わずよろける。
「んっだよ、何もなしかよ…まあいっか」
ぶつかったわけでもないし、私は勝己でもないから気にもとめなかった
しばらく走ってそろそろ中間地点だなというところまで来た。一本道のため向こう側から走ってくる勝己が見える。
体力は落ちていたけどペースはいい感じみたいだな
「かつき〜」
ひらひらと手を振ると勝己の走るペースが遅くなった。
「どうしたんだ？、かつき〜！」
「まった、てめぇは変な個性にかかりやがって！んだこの尻尾と耳はァ！」
振り上げられた腕に頭の上にある何かを掴まれる。
「え…？」
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作者名：サワークリーム | 作成日時：2018年5月13日 16時
