. ページ23
.
「 …小瀧くんもきたんや 」
暇やし、と彼の目線はわたしをみない。
彼の冷たさにぎゅうっと胸がつぶれそうになりながらも負けじと笑う。
ゆに子「 発狂したらごめんな 」
「 え、めっちゃ迷惑 」
「だって〜」と頬を手でおおって、わたしのとなり騒ぐゆっちゃん。
横目で小瀧くんの方見ると、イヤホンをつけて聞いてないみたいだった。
小瀧くんにバレてしまえばいいのにって思うけど、聞いてなくてよかったとも思う。
ゆに子「 負けてもうたら、いややあ 」
「負けへんよな!」って笑うゆっちゃんに、「なにがー?」って入ってくる小瀧くん。
わたしはなんでもないよって、顔伏せた。
小瀧くんもなんか不機嫌になって、全部顔に出てる。
『 なんやねん、 』
小瀧くんは、もう一回いじってたケータイを開く。
と思ったら、これ見てってゆっちゃんのすぐ顔の横、寄り添う小瀧くん。
わたしは、そっと二人から距離をおいた。
どうしようもなく情けなくて、辛くて悲しくて。
ゆっちゃんは、思いを寄せられること知らず、重岡のことをずっと思ってられる、
それってすごい幸せで。
彼の視線はわたしを捉えることはないのだ、と考えれば考えるほど心臓が痛め付けられるように痛いのだ。
.
ゆに子「 あかんっ、あかんっ 」
重岡くん〜っ、って試合開始早々はしゃぐゆっちゃん。
重岡だけを見つめてれば、ときどきぱちっと目があって。
小さく腰らへんで手を振ってくれた。
小瀧くんは、重岡の動画をとって送ってやろって悪い顔。
ゆっちゃんは、顔を赤くしてキラッキラな目で彼を見つめるの。
そして、わたしは隣に座る小瀧くんを見る。
ばれないように、上目遣いでそっと。
腕が触れただけ、それだけでドキッとする。
これから、二人だけの熱い夏なんて来やしない、って分かってるのに。
どこか遠くで夏らしいセミが鳴いた気がした。
ゆに子「 Aっ、重岡くん決めた 」
そう大きすぎるゆっちゃんの声に小瀧くんも反応して、声をあげた。
わたしの肩を結構な力で叩くゆっちゃんの目には、重岡しかいなくて。
小瀧くんの目には、ゆっちゃんしかいない。
それと同じように、わたしの目には小瀧くんだけなんだ。
.
665人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楓花(プロフ) - かっぱさん» かっぱちゃん!(笑)ありがとう!告白しました。重岡切ないです。これからもよろしくねっ、(笑) (2017年2月24日 0時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - とうとう告白したねっ!毎日楽しみにしてるからこれからも頑張って。しげほんとに切なすぎてやばいよ、(泣) (2017年2月24日 0時) (レス) id: d7d81d2943 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - りんすけ.さん» ありがとうございます。どこまでも切ない重岡くんですが、そこに注目してくださり嬉しいです。更新頑張りますね。 (2017年2月23日 19時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
りんすけ.(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。しげちゃんが積極的ですね……次の更新楽しみにしてます('・エ・`) (2017年2月23日 18時) (レス) id: f5785759a1 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - こためるこさん» 泣きすぎや、(笑) (2017年2月21日 20時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふーのん | 作成日時:2017年1月30日 22時