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「 …そ、そうやったんか。やっぱ 」
「当たった」なんて笑ったけど、心のどこかでは期待していた。
恥ずかしいくらいに、勘違いをしていた。
『 えー、ばれてたかあ 』
頭の上で手を組んだ小瀧くんは、わたしが歩くペース落としたのにも気づかず、前を歩く。
『 おれらだけの秘密な 』
「 わかった 」
「死んでも重岡には言わないよ」というと「よかった」って笑う小瀧くん。
いつの日か、二人だけの秘密がほしい、と思ってた。
二人だけで、アイコンタクトだけで分かち合えるような、そんな約束と秘密ごと。
やっとできた二人だけの話は、まるでわたしの心をえぐるもの。
今すぐに小瀧くんを好きないまこの瞬間を忘れたいほど、心が何かに自然と追い詰められる。
「 ごめん、こ、小瀧、くん…、わたし 」
でも、好きだと思った。
照れくさそうに笑う彼が、わたしは忘れられないと思った。
でもそれを伝える勇気はなく。
「 …ううん、なんでもないや 」
自分がどれほど辛くても、言えないことってあるんだ。
告白の代わりに出てきた言葉は、自分で自分の首を絞めるようなもので。
「 どういうとこが好きなん? 」
小瀧くんの照れ臭そうに頬かくの見ると辛くなる。
ほんとにわたしは彼の中にいない。
『 ゆに子ってさ、なんか頑固なとこあるやん?
でも、おれには素直やったりするから、おれんこと意識してるんかな、とか思ったりさするの 』
わかる?なんてわかるはずのない気持ちを並べる小瀧くん。
ねえわたしは、小瀧くんにどう見えてるの。
でも小瀧くんもわたしと同じ。勘違いをしてる。
ゆっちゃんは、重岡が好きで。
重岡もゆっちゃんが好きなのに。
こんなに残酷なことはなかった。
降ってきた雪は、二人の世界を変えていく。
はらはらと儚く消えるのは、わたしの初恋のようで。
わたしは手を伸ばした。小瀧くんも同じように。
願いを込めた。恋がかなえばいいのにって。
でも、その願いは雪に消える。
はぁ、とついたため息さえも雪にのまれ。
もう叶うはずのない恋に別れは告げられず、また時は過ぎていくんだ。
『 こんなに人を好きになったん、はじめてやなあ 』
小瀧くんの、恋して楽しそうな横顔。
冬のせいか、恋のせいか、胸にグッと刺さるような顔だった。
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楓花(プロフ) - かっぱさん» かっぱちゃん!(笑)ありがとう!告白しました。重岡切ないです。これからもよろしくねっ、(笑) (2017年2月24日 0時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - とうとう告白したねっ!毎日楽しみにしてるからこれからも頑張って。しげほんとに切なすぎてやばいよ、(泣) (2017年2月24日 0時) (レス) id: d7d81d2943 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - りんすけ.さん» ありがとうございます。どこまでも切ない重岡くんですが、そこに注目してくださり嬉しいです。更新頑張りますね。 (2017年2月23日 19時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
りんすけ.(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。しげちゃんが積極的ですね……次の更新楽しみにしてます('・エ・`) (2017年2月23日 18時) (レス) id: f5785759a1 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - こためるこさん» 泣きすぎや、(笑) (2017年2月21日 20時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふーのん | 作成日時:2017年1月30日 22時