【d!】小悪魔の好き嫌い【WT】 (ページ4)

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全員の自己紹介が終わり、先生の長話タイムに突入する。そこで気づいたのだがまだ鳥井希が来ていない。

...まあ来ないに越したことはないのだが。

結局鳥井が来ることなくSHRは終わった。この後は生徒会のみが入学式に参加するため、我々一般人は普段より圧倒的に早く帰ることが出来た。

早く帰りたいと先走る気持ちを抑えながら準備をしているとまたもや黄瀬に話しかけられる。

「なあ、この後暇？」

『ひ、暇じゃないけど』

「嘘だって顔に書いてんねんけど。」

『…...だったら何？』

「あんな、ゾムがおらんくて人手が足りないから手伝って欲しいんや。」

『そのゾムって人はどうしたの？』

「サボりやな多分」

『じゃあ無理。その人無理矢理連れてくればいいじゃん。』

「まあそう言わずに、な！」

『...』

目をうるうるさせ、上目遣いでこちらを見つめてくる。これをされた女子の大半は惚れるんだろうな。

正直断る理由も無かったのでこの先は頷くしか無かった。

「ホンマに？よっしゃ。じゃあ早速行くで！」

黄瀬は私の腕を思い切り引っ張り、帰る人の波に逆らって進む。そのスピードは相当早く、置いてかれないよう着いていくので精一杯だった。

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『よし、こんなもんだろ…』

入学式の会場設営が終わり、後30分ほどで式が始まる頃、もう私の手伝えることは全て終わった。周りは依然として忙しく動き回っており、人1人居なくなったところでバレそうになかった。

そんな訳で私は端に置いてあった荷物を乱雑に拾い上げ、そそくさと裏口から帰ろうとする。

「待て、AA。」

しかし、その一言で私の帰路は閉ざされてしまう。

恐る恐る振り向くと、そこには金髪赤目の凄そうなオーラを放つ人が立っていた。この人こそが、この学校の生徒会長、グルッぺン・フューラーなのだが。

今日は隣に生徒会書記の桃瀬豚平を連れていた。

「突然だったが協力ありがとう。」

『あ、生徒会長サン…どうモ…では……』

「まあ待て。折角だから少し話していかないか？」

『ご、ごめんなさい…急いでるんデ……』

早くこの場から去りたくてドアノブに手をかけると、「逃がさへんで。」と耳元で誰かが囁いてくる。嘘、誰も近くにはいなかったはず…

瞬時に間合いを詰められたことへの驚きと、その相手があの黄瀬だったことへの驚きとが二重で襲いかかってきた。

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