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『敬語外して。』
「無理です！！」
まだ渋る天乃に少し苛立ちを感じるが、この人はファンなのであまり適当に扱えない。
...こうなったら。
私は軽く咳払いをして、出来る限りの可愛い声で天乃に囁く。
『.....ロボロ君、だめかな？Aとタメで話すの、嫌？』
それを聞いた天乃は途端に顔を真っ赤にさせて、言語化不可能なことを言っていた。
「ぅあ...は.....嫌なわけ...ないです.......！！」
『じゃあ、これからはタメで言ってよね。』
「わ、わかった！じゃあ俺の事もそのままロボロって呼んでや！」
『うん、わかった。』
こういう事を言うのは良くないが、彼の扱い方はマスターした気がする。これは生徒会から距離を置くのに上手く使えそうだ。
暫くすると鳥井が戻ってくる。
「待たせたな！ほら、Aのリクエスト！」
彼が運んできたものを見て唖然とする。
私はプチパンケーキ1セットのつもりで頼んだのだが、鳥井が持ってきたのは20セットだ。開いた口が塞がらない。
『えっと...私、こんな食べれないけど。』
「遠慮せんでええよ。これ全部Aのためやから！」
『む、無理だって』
「ほらええから、な？」
何処か威圧感の感じる話し方に、仕方なく私は食べ始める。ロボロもセットの中から1つ取り出して、美味しそうに食べていた。
どうでもいいが彼、なんだか小動物みたいだな。パンケーキ食べてるとますますそう見える。
「な、なあ...美味しい？」
『ゔ...おいしいけど.....』
いや、いまはこの横に座る悪魔を何とかしないと。
しかし、私は今奥の席に座っていてどう足掻いても逃げ出せない。
私が苦しそうに食べる姿を、ニヤニヤしながら見てくる彼。
『ま...まさか、誠意なんて嘘なんじゃ.....』
「いやいや、俺はAのことを思って頼んだで？だから、食べて。」
ダウト。誠意なんて微塵もなかった。
彼はただ、私が苦しそうにしているのを面白がるために連れてきたんだ。
本当に最悪なのに捕まったものだ。
『とり...い...君...無理.....。』
「まだいけるやろ？ほら、あーん。」
美味しいものも沢山食べすぎると飽きてくる。
それを通り越して気持ち悪くなってきているが。
鳥井が食べさせてくるが、もう本当に限界だった。
その後、自宅に帰って見事にリバースした私は、そこから3日間ほどほとんど何も食べなかった。
鳥井希...ゆるさん...。
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作者名：らあ。 | 作成日時：2023年1月2日 19時
