任侠には興味なし【d!】 (ページ10)

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目的地に着くまでの間、話のネタが尽きることは無く、4人でずっと喋っていた。

「いやーでも、Aが来たおかげで大先生が丸なった気するわ。」

『えっ、元からこんな感じじゃないんですか？』

「ちゃうで。昔は尖りに尖っとったからな。」

「んなこと言わんでええやん…」

大先生の方を向くと、きゃー見ないでーと顔を隠していた。本当にこの人が尖ってたのかな、と思わざるを得ない。

「まあ、でも、Aちゃんが来て、俺らの中に新しい風が吹き込んだとは思うで。」

「ふは、何カッコつけてんねん」

「ちゅめたいシャオちゃん……」

争ってる2人を他所に、コネシマさんは頭を掻きながらはにかむ。

「せやな、ほんま、ありがとう」

『…いえいえ。こちらこそほんの少しだけでしたが、お世話になりました。』

車内に暖かい空気が流れる。

ずっとヤクザは怖いと思ってたけど、実はそんなこと無かったのかも。

「ほら、ついたで。」

シャオロンさんはドアを開け、手を差し出してくれる。

その紳士的な行動に少しドキッとしながら私は手をしっかり掴んで車から降りた。

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拘置所前には既に組員が並び始めていた。

もちろんロボロの姿もある。
兄は急用で遠くへ行ってると聞いたので、ここにはいない。

私はとりあえずコネシマさんの隣に並び、その時を待つ。

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門が開く音が聞こえ、その姿が瞳に映る。

こちらに手を振りながら、ゆっくりと歩いてくる威厳に満ちた男を見て思わず息を飲む。

これが私の父親。

物心ついてからは初めて会うので、あまり実感は湧かないがどこかむず痒い気持ちになる。

それでも誇らしく思いながら、組員に歓迎されるその姿を見守っていた。

その刹那

───────パァンッ

鮮血が迸る。

目の前で父が倒れる。

その光景はスローモーションのようだったが、どうしでもその1歩を踏み出すことが出来ない。

私はただ呆然と、倒れる父を見つめるだけだった。

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不意に父の声が聞こえた気がした。

「A…お前に……何もしてやれなかったな…」

父は力いっぱいに私の顔を見ていた。

間もなく、彼は呆気なく死んだ。

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