15.彼の本心 ページ40
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ショッピは不機嫌だった。
乗り気のない仕事、ナンバーワンの男、そして、AAの存在。
全部が彼にとって悩ませるものだった。
自宅に戻るとすぐに酒でだるくなった体をソファーに投げ出す。「...はあ」と誰にも届かないため息を漏らし、タバコに火をつけた。
「それでも俺はやらなあかん...」
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Aside
3日後、私はまた【Daydream】に来た。
ショッピ君は来なくていいと言ったが、それでも来ずにはいられなかった。
それも、頑なにお金にこだわる理由が分かれば、きっと彼に寄り添える気がしたからだ。
ちなみに今回は自分のお金を持ってきたので罪悪感も何も無い。これで正々堂々と向き合える。
前回同様【タバコくれ太郎】を指名して着席する。
きょうはあの女の人は居ないようだった。
程なくしてショッピ君がやってくる。
私の顔を見ると少し驚いたのか目が開く。
「な、なんで来たんですか...？」
『なんとなく、じゃダメ？』
「いや、ダメじゃないですけど...」
いつも通り彼は私の隣に座る。しかし、その距離は普段より少しばかり離れているように感じた。
『あのね、私考えたの。どうしてそこまでお金にこだわるのか。』
「は...突然なんですか？拘るのに理由なんてないですよ。」
『うん。考えたけどわかんなかった。だからね、私、これを頼むことにした。』
メニュー表に指をさす。そこにはくっきりと「ルイ13世100万円」の文字が。
「え...Aさん、本気で言ってます？」
『うん、本気だよ。』
「なんでこんな高い...」
『だってお金が必要なんでしょ？』
「そうですけど、でも」
『私はね、自分の組員にこんな所長居して欲しくないの。ずっと此処に潜入し続けて息の詰まる生活なんて送んないで欲しいの。』
「は...なんでや...おかしいやろ...」
彼は悲しみに満ちたような、私を憐れむような目で見つめた。でも、私はあえて見て見ぬふりをした。
間もなく、無慈悲にも、彼の前にルイ13世が運ばれてくる。
瓶の中の液体が嫌なほど煌めいていた。
「俺、知りませんからね。このお金、コネシマさんが出してるんでしょ？」
『ううん、これは正真正銘私のお金。こんなこと、組長の娘にかかれば楽勝なの。』
「...」
それ以上は諦めたのか、彼も何も言わなかった。
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作者名：らあ。 | 作成日時：2022年11月7日 21時
