任侠には興味なし【d!】 (ページ37)

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今日はまたショッピ君に会うために、あのネオン街に行く。

前回、彼が本気でホストのフリをしているのを見た私は、その努力を無駄にしないためにも頑張って会話をしなければならなかった。

今回からは1人指名すれば良いだけなので前回のような地獄の時間は待っていないが、それでも緊張する。自分からショッピ君との時間を作り出さなければならないのも厄介だ。

とりあえず、激戦を予想して札束を財布に詰め込む。

これで準備は万端だろう。

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しばらくして、あのネオン街に着いてしまった。
ここまで来るともう引き返せないので、私は嫌々ながら腹を括って店内に踏み込んだ。

「いらっしゃいませ。本日は誰指名でしょうか。」

『タバコくれ太郎...さんでお願いします。』

「かしこまりました。では、店内にご案内致します。」

重たい扉を開けるとそこは別空間。
耳が壊れそうな音量のBGMの中、沢山の男女が寄り添って話している。

席に案内され、そこでしばらく待っていると目当ての人がやって来た。

「また来てくれたんですね、ありがとうございます。」

『あ、えっと、どうも...』

「お隣失礼しますね」と隣に座るやいなや、そっと耳打ちしてくる。

「なんでそんな緊張してるんですか...あ、もしかして会話下手なんですか。」

『は！？失礼な！』

思わず大声を出してしまう。しかし、周りがあまりにも騒がしいため誰も気づかなかった。

「ふふっ、Aさんはありのまま話してください。そっちの方が自然ですよ。」

彼はニコッと笑う。その顔は今まで見た中でいちばん自然な笑顔だった。

『クレ君、ところで書類っていつ貰える感じ？』

「前回と同じく帰り際でもいいすか？」

『うん、いいよ。』

「すみません、ありがとうございます。」

その後直ぐに他のホストから「クレ」と呼び出される。
彼が人気なのは本当のようだ。

「あ、他で呼び出されたんで行きますね。」

『わかった、じゃあまた後でね。』

「あ、」

立ち上がった彼は思い出したかのように私に近づいて囁く。

「俺、Aさんが呼ばない限り今日は戻ってきませんから...待ってますよ？」

『え、それって』

「そういうことっすね。」

お酒入れないと戻ってこないってことか。
彼はニヤッと笑って、もう一度「待ってますよ」と言った。

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