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私の父を殺した張本人、鳥居希を雇うことにしたは良いものの、正直私はどうしたらいいのか分からなかった。

とりあえず、この人についての情報が少なすぎる。

そんな訳で眠気が来るまでこの男と色々話すことにした。






今気づいたが、ずっと部屋の電気を消したままだった。
私は急いで明かりを灯し、彼をソファーに座らせ、その正面に座った。

漸く今まで見えていなかった顔が明らかになる。

彼の顔は、汚れや傷こそ付いていたが、それでも綺麗だった。その中でも特にエメラルドの瞳は何時間でも眺められる程に美しい。







『あの、鳥居さんは雇われて何をしてくれるんですか?』

「んー、護衛とか?あ、殺しもイけるで。」

『…私を、守ってくれるんですか?』

「せやね、ご主人様に助けられた命はご主人様に使いたいから。」

『あの…私、ご主人様じゃなくて、名前で呼んでくれるとありがたいです。』

「あー、すまん、名前、なんて言うん?」

『AAです。』

「じゃあA?」

『それでお願いします』

「なら俺の事もゾムって呼んで欲しい」

『えと…ゾム…?』

「おお、ええな。」




お気づきだろうか。彼の性格が出会った時と比べて明るくなったことに。

もしかしたらこっちの方が本当の彼なのかもしれないが。




「せや、こう見えて、俺とあんた1歳しか変わらんから、お互いタメで話そうや。」

『な、なんで私の年齢を…!?』

「んふふ、俺あの後、すぐに身元調べまくったから何でも知っとるで」

『えええ…』



話せば話すほど普通の人と変わらないんだと実感する。
きっと、環境が彼を変えたんだろう。

それなら殺し屋なんて辞めて私の元で護衛する方が絶対に良い。正直なところ、そうやって正当化しないとこの選択はみんなを裏切ることになってしまう。



『ゾムはずっと殺し屋をしてたの?』

「…まあ、生まれた時からでは無いけど、ずっとやね」

『そっか…』

「…やっぱ怖い?」

『ううん、違う。』



この思いは、ちゃんと伝えるべきだ。



『これからは、殺しなんてしなくていいからね。私の元にいてくれれば、それでいいの。』

「…っ」

『貴方を雇う代わりに、私との約束。極力人は殺しちゃダメ。』

「…わかった。俺、命かけてAを守ることに専念するわ。」

『ありがとう。』





問題は山積みだけど、彼のことは少し分かったからとりあえず良かった。








「っ、A、誰か来た。」








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作者名:らあ。 | 作成日時:2022年11月7日 21時

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