【d!】色は思案の外【zm】 (ページ4)

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2.不平等ページ4

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『ぞ、ゾムって、あのゾム...？』

「せやで、見たことあるやろ、この顔。」

そう言って彼はフードを外し、その顔を私の目の前に持ってきた。言われてみると、確かに彼がそのゾムだということはわかる。写真で見たことがあるのだ。とても端正な顔立ちの、エメラルド色の瞳を持つ男。

だが、私の知っているゾムはこんなに酷い男じゃない。普段から自分に厳しく、努力家な人だとメディアは述べていたはずだ。そんな厳格なイメージの彼が、今は全く存在しないのだ。

彼の活躍は新聞を通して国民全員が知っていた。勿論、私も。騙されていたなんて知らずに。

『あのゾムが...こんなこと.......、私たち国民を...、騙したのね。』

「騙す？何がや。」

『こんなことして許されるとでも思ってんの？総統はこれを知ってタダで済ますとでも？？』

全力で彼の顔を睨みつける。
だが、全くもって彼は動じなかった。

「ッはは、かはッ.....くく、ふはは！！！Aはアホやなホンマ！！！！」

『は...？』

「別にグルッペンに知らせたところで何も起きひんよ。」

『な、なんでよ。』

「だってこの国にとって俺は必要不可欠やろ？これまでの戦争で勝てたのも俺の力あってこそやし、それはグルッペンも分かっとる。やからここで幹部なんて辞めさせたらこの国終わるやろ？」

『そんな.......！』

「助けが欲しいなら叫べばええやん。まあ、叫んだところで俺が罪に問われることは無いし、逆に事実を消すためにAが消されるかもしれへんな。」

『.........。』

「別に苦しめようと思ってる訳ちゃうから大人しくしいや。俺、好きな人には優しくできる男やで？」

悔しかった。確かにこの国に必要なのは私じゃなくて彼だ。彼の方が圧倒的に尊重される対象だ。ああ、きっと私が何を言おうと無駄なんだ。

もう諦めて大人しくするしか残されてないのかもしれない。

『本当に酷いこと、しない？』

「アンタがしなければ、な。」

『きっと、おばさんとおじさんが助けに来てくれる。それまでは大人しくしとくよ。』

「物分りがええなぁ。まあ、助けに来ることは無いだろうけどな。」

乾いた笑みを浮かべながら彼は部屋を後にする。

「俺、仕事やから。逃げ出したら許さへんよ。」

彼の前では大人しくしよう。
上に頼れなくたって、自分で逃げ出せる可能性もある。

こんな場所、早く抜け出そう。

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