【終わりのセラフ】彼女の手が届くまで【柊暮人】 (ページ16)

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第１４話ページ16

「じゃあ…三年の人かな。柊暮人生徒会長とか？」

「いいえ。もっと有能で柊の事を強く、憎んでいる方ですよ」

「っ！」

Aはそこで、煙幕の向こうへ飛び出した。

グレン達が何やら叫ぶがそれどころではないのだ。

斉藤の方へ飛び出す瞬間に小さく

「彼女は、生徒指導室にいますよ」

グレンや深夜にも聞こえない声で呟かれ、計画通りに動かされているのに腹立ちつつそのままAはその場所へと向かった。

生徒指導室に着くと、周りは血だらけだった。

その奥に目的の人物はいた。

「…真昼ちゃん」

「昨日ぶりね。A、話せる時間ないかな？」

制服に少し血が付いており、彼女の周りにも人が死んでいることから、殺したのだろう。

「少しだけなら…あると思う。」

「よかった。」

年頃の少女のように真昼は笑うが彼女はもう『人』では、ないんだろう。

「もう…時間ないの？」

「うん、私は奪っちゃったから。」

「変えれないの？」

「変えれない。もし変えれても、すぐに戻されるかもしれない。」

「戻れないの？」

「うん、二度と…私も貴方も」

「じゃあ私が、」

「駄目。貴方はまだこの『計画』に必要なの。それにまだ役目があるでしょう？」

Aが言うのを宥めるように真昼は話す。

「そろそろグレンの所に行くね。」

「真昼ちゃん！」

何時ものAらしかぬ戸惑う表情に対し真昼は落ち着かせるように話す。

「Aは傍観者でしょ？」

「それは、『榊』だから」

「大丈夫、貴方もいずれ＿をする。その時にまた会えるわ。あの人も無自覚だろうけど、もう＿をしているのでしょうね。私も…叶うかな。」

一部聞こえなかったところもあったが、真昼は既に行ってしまった。

「…戻らなきゃ」

Aはそこに暫くいたが、すっと顔をあげた時には、何を考えているのか分からない、何時もの状態に戻っていた。

グレンを探すと、十条や五士の２人といた。

「大丈夫だった？」

「よかった…榊様もご無事でしたか！！」

十条がこちらにより、安心したように笑った。

深夜も戻ってきて、真昼が攫われたと言っていた。

あの2人はもう知っているのだろう。真昼が裏切り者だと。

それでもそう言うので、『柊』が嫌いなんだと改めて実感する。

Aはさっき襲撃があったのに綺麗に晴れている空を見て、

「私も、いつか…」

と言い、目を閉じた。