〜お叱りと労いの言葉(9)〜 ページ49
「白雪どのとは塔でもお会いしたのに、それきりになってしまっていてごめんなさい」
「いえ」
「あの兄とイザナ殿下の前だと立場が少し難しくて…いや厄介…もとい面倒で…」
頬に手を当て、息継ぎすらせずに呟かれた言葉に白雪はどうしたものかと、慌ててしまう。
「えっ」
「まぁ、失言を」
ふふっと、本当にそう思ってるのかと疑いたくなるくらいの表情に白雪は、綺麗な人なのに不思議な人だなと思ったのは秘密である。
「それに久しぶりね、クレア」
目を細めて愛しそうに見るハキに、クレアは少し擽ったそうに、返事をする。
『…お久しぶりでございます、ハキさ…』
「あら、もう前のようには呼んでくださらないのかしら?小さな頃は姉様、姉様と可愛らしく後を着いてきてくれたというのに」
『ハ、ハキ姉様!そ、そのような昔の話をこんな所で仰らないで下さいっ』
小さな頃から城にいたクレアはやはり、ハキとも交流があったようで、クレアの様子を見ればイザナと同じように幼き頃は姉妹のような関係だったのだろうなと、白雪は思った。
「え、何々。クレアちゃんほんと、何者なの?」
「王城の人とは聞いてたけど…」
ユズリと鈴は益々、クレアという人物が分からなくなってしまった。
「ゼン、向こう」
ほんの少し離れた場所で静かに酒を飲んでいた木々が、ゼンを諭すように、クレア達のいる場所へと視線を向けた。
その目線の先には勿論、ハキの姿が映し出されてありその視線に気づいたハキは静かにゼンへと頭を下げると、同じようにゼンもハキへと頭を下げたのだった。
ハキがゼンへと挨拶をしなかったのも、此処にいる者達への配慮の為であると知っていたので、ゼンもわざわざ話し掛ける事はしなかったのだと思う。
『姉様、関所まで御送りします』
「平気よ、クレア。貴女も頑張ってくれたのでしょう?また無茶をしたようね」
部屋を出ていこうとするハキを引き留めたクレアに、ハキは少し怒ったように言ってから、クレアの髪をそっと撫でた。
「素敵な殿方ね、クレア」
『え…?』
「私に隠し事なんて、出来るとでも?」
オビとの関係をどう見たら、分かったのだろうと考えるのも束の間、深く考えても意味がない気がした。きっとイザナから聞いたに違いないと確信したからだ。
『隠し事なんて…』
ふふ、聞いたのよ。だから、少しからかっただけよ。と笑うハキにやっぱりと苦笑するしか他ならなかった。
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時