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   〜お叱りと労いの言葉(3)〜 ページ43

『…ね、ねぇゼン?』

「なんだクレア」

『そろそろ離して…くんないと、窒息、す、る…』



背の高いオビは平気だとして、白雪もゼンの肩口に顔が押し付けられ少し苦しそうだったが、問題はその二人の間に挟まれたクレアの存在だった。



「すまん、平気か?」

『…ふー、ん、平気。でも、いくら心配だったからってそんなに熱い抱擁しなくたって、いいのにねー?』



ゼンの胸元に顔を埋める形になっていたクレアは、一息つくとオビに、同意を求めるように笑った。



「主、ほんとに俺達の事好きですよねー。まぁ、俺も主の事、嫌いじゃないですけどね。ね、お嬢さん!」

「え、あっ…あ、うん!良かったね、ゼン!」

『良かった、良かった!』

「白雪を除いたお前ら、二人は調子に乗りすぎだ!」



心配して損した気がする!と、少し怒ったように言ってから顔を見合わせて笑い合った。



「クレア、ほんとに平気?」

『うん、そうだけど。どうしたの木々、いつもはそんな事聞かないのに』



近寄ってきた木々は、クレアの様子をじっと見てから少し、納得したのか、何でもないよと微笑む。



「お前はよく、我慢するからな。俺達も心配なんだよ。な、木々」

「まぁね。」

『ミツヒデと木々は、いつからあたしの保護者になったのさー』




けらけらと笑うクレアの姿を、同じく微笑ましそうに見ていた白雪は、まだ仕事が残っていたことを理由に持ち場へ戻ることとなった。



「では、私は少し仕事に戻ります」

「あとでなー」



手を振るミツヒデの横でクレアと、オビも軽く手を振ってからゼン達は宛がわれた部屋へと戻ると、目を通さなければいけない書類を手に取っていく。




「ゼンはこれ、目通してな。あと、これも」

『ゼン、イザナ様から追加の書類を持ってきたよ』




イザナの所に病の完治をクレア一人で報告に行った後に、渡されたゼン宛の書類を手に持ち部屋へと戻ると、ソファーで寝こけるオビがいた。




『やる事が無いとはいえ、寝ないでよーねぇ。ほら、ゼン睨んでるよ、オビ』

「んぁ?あー…クレア嬢。どしたんだい?」

『どうしたもこうしたもないー、さっきキリトに会ってね、終わったら外に来いって言われたんだ』

「キリ坊が?」



そう話す二人の会話を聞いていたゼンは、行ってこい行ってこいと追い払うような手付きをしたため、有り難くその厚意を受け取るようにして二人で部屋を出たのだった。






.

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 従者   
作品ジャンル:ファンタジー
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時

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