〜お叱りと労いの言葉(2)〜 ページ42
「お嬢さん達はもうひと踏ん張り仕事か、大変だねぇ」
『病み上がりなのにねー』
「でも、ほんとにあと一息だよ。まとめたりね」
あの後、部屋中に噂を聞き付けた研究者達がこぞってガラクへと質問をしに来たので、リュウがガラクの助手となり質問会場へと変貌したため、三人は部屋を出たのだ。
「じゃあ俺達はー…主達がまだ着かないのか聞いてこよっかなっと…お嬢さん、クレア嬢!!!」
「!?」
『なーにー。…あ!』
廊下の窓に張り付くように外を見たオビに、クレアもつられて窓の外を見ると、何かを見つけたようだ。
『白雪、ほら』
「…あ!」
「行こうか!」
白雪にも教えてやると、何かが分かったようで館の外へと向かう足取りが早くなる。館の外へ出ると、数日ぶりの三人に手を振った。
「おーい、あーるじー」
「木々さん、ミツヒデさん!」
『あ、居たんだミツヒデ』
「久しぶりに会って早々、それはないだろう」
白い息を吐きながらやって来た三人は少し驚くと、クレアがミツヒデに向けた言葉は、当の本人も呆れつつも嬉しそうに笑っていた。
その和やかな雰囲気も束の間、ゼンは一瞬にして鬼の形相へと変わる。
「おーまーえーらー。二人揃って倒れたらしいな……?」
「「『はい(やっぱり怒られた)』」」
予想はしていたが物凄い睨みをきかせてくるゼンに、白雪もオビもクレアも、降参の意味で両手をあげて後退していく。
「いや、でもちゃんと安静にしてたんで。もう全然なんともホラ!ね!お嬢さん達!!」
「うん、はい、あのリュウもずっとついて看てくれてたし、もう大丈夫です!!ね、クレアさん!!」
『うん、うん!!ね、だから、そんな目で睨まないで、ね?ゼン?いや、ゼン様!』
三人の必死な様子が届いたのか、そもそも怒っていたのかどうか疑いたくなるような落ち着いた声が、ゼンの口から漏れる。
「……わかってる、全部聞いた。本当に回復したんだな?」
「「しました!」」
『ほ、ほんと疑い深いんだからゼ…!?』
それでもじりじりと近寄ってくるゼンに、クレアは咄嗟にいつものように頭を叩かれるのではないかと、身を縮めると途端に何かに挟まれたような感覚になってから、すぐにゼンが、自分たち三人を纏めて抱き締めている事に気づく。
『ゼ…ン?』
「何よりだ」
彼も、そしてミツヒデも木々も同じ気持ちだったようでその姿を微笑ましそうに見守っていた。
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時