赤髪の白雪姫【７】 (ページ34)

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第３９話～オリンマリス(１)～ページ34

「名前までは知らないだろう？白雪君、それにクレア君も」

困ったように笑うシダンの表情に、クレアは少し胸が詰まったように辛くなった。

何故だか、わからないが見つけない方が良かったかもしれないという思いにかられたが、苦しんでいる人達や、キリトの事を思い出しその考えを捨てる。

「シダンさん…！？ど、どうしたんですか」

『シダンさんこそ、どうしてここに？』

「……君らこそ。こんなところ誰も来ないのによく見つけられたね。あてがあるらしいってユズリ君達が言ってたけど」

洞窟内に流れる水の音が、寒さを忘れさせまいと音をたてて流れている。

「はい、オビ…彼とクレアさんに考えがあったので」

「ふ…。宮廷薬剤師は、いろいろ頼れるのがいるなぁ…」

『オビも薬剤師に見えるらしいよ』

「いや、俺は薬剤師じゃないですけどね…って」

クレアとオビの声など聞こえてないのか、その場にずるずると座り込んだシダンに、白雪は焦る。

「シダンさん！？」

「いや、大丈夫、大丈夫。病じゃあない…」

『大丈夫そうには、見えませんけどね』

そんな所に踞っていたら寒くはないだろうかと考えたクレアにオビがさっと、シダンに背を向け出口に向かおうとする。

「お嬢さん、クレア嬢のんびりしてられない。よくわからんけど、行こう」

「いやいや、待ってくれ青年」

三角座りに、顔を足の間に埋めたままのシダンは出ていこうとするオビを引き留める。

「ー…東の大陸の山奥でのみ見つかったと記録される植物と…そう書かれていた」

「…！？」

「それもこんな雪の深くなる地ではなく…誰かが持ち込んだか遺棄したか…ここにある理由はわからない」

シダンはどうやら、この植物について何か知っているようだ。いつから知っていたのかはわからないが。

「私がこの洞穴を見つけたのも、ただの偶然だった。調べても調べても、わかったのはせいぜい名前と先に言った事くらいだ。クラリネスでは、知られてさえいない灯りの植物、これならば…と思ってね……」

彼、シダンが何故思い詰めたように今にも泣きそうな表情をしていたのかがやっとわかったクレア。

守りたくとも守る術が見つからず、ただこうやって見守るだけしか出来ない辛さが、シダンの表情から伝わった。

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