〜鈍く光る水の在処(9)〜 ページ32
波紋状の痣が発症したキリトが、眠っていた目をゆっくりと開ける。
「大丈夫?キリト」
「…リュウ。あの赤い姉ちゃんと白い姉ちゃんに、兄ちゃんは?まさか、倒れた?」
「倒れてないよ」
オビから鈴に託された時には眠ってしまっていたキリトがこの場にいない三人の心配をする。
「種あったよ」
「…!おー…あれ、シダンは?声、聞こえた気がしたけど?」
「うん、さっきまでいた。ちょっと、出てくるって。あとで、また迎えに来るって」
そうリュウに言い残したシダンの表情は、キリトを心配してなのか、あまり浮かない顔をしていた。
洞窟の入り口の真上まで辿り着くと、オビは繋がれていた手をそっと離した。
「さてと、ここがちょうど洞窟の入り口の真上ってとこだ」
「うん」
『で、ここからが本題だねー』
雪道を二度も上がったのだ、体力的にも白雪はきついだろうなと考えながら、白雪とは手を繋いだままのクレアはここから先の事を考える。
「洞窟で歩いた分と同じ距離、同じ方向に進む」
「え!?……!?も、もしかして記憶しながら歩いてたの…!?」
まさかのオビの考えに、白雪は思ってもいなかったようで大きく驚いた。
「まーね、疲れるんだけどさ。残ったからには俺も少しは役に立たないと」
『あたしも一応、数えてたし迷うことはないって』
「え、クレアさんも数えてたんですか?」
自分の周りにいる人は何故こんなにも、すごい特技だったり、色々出来たりするんだろうかと苦笑した白雪。
「そんじゃあ、まずはこのまま真っ直ぐ十七歩」
『白雪、さっきよりも雪道険しくなるから手、離さないでね?』
すうっと息をゆっくり吸ったオビの表情は、真剣そのものでクレアも、白雪の手を握り直すと前へと進む。
「…二時の方角、九歩ーーって、かっこつけたはいいけど、やっぱ雪道は集中力倍要るわ…」
『あたしが前歩こうか?』
「オビ、大丈夫?」
後ろから心配されたような声にオビは、振り返ることなくずんずんと進んでいく。
「任せなさい」
『…無理しないでよ、ほんと』
二人からはオビの表情は、見えなかったがどうも様子が変に感じたクレアは白雪にも聞こえないように、小さく呟いた。
「フー…最後、四時の方角…」
『十三歩、でしょ?』
「正解」
クレアがそう答えた事によって、オビが正解だとこちらに振り向き微笑んだ。
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時