〜鈍く光る水の在処(8)〜 ページ31
白雪も鼻をぶつけたのか鼻を赤くし、笑う姿にクレアはお揃いだと同じく笑った。
確かに白雪が二人を庇うように、突きだした腕はオビの左手によって庇われ右手では、クレアの頭を抱き締めるように腕が回されそのまま、雪の積もる地面へと三人は重なりあうように倒れたのだ。
『助けてもらうのは、これっきりがいいかも。』
「え?」
『白雪があたし達を助けようとしてくれたように、あたし達も白雪を大切に思ってるし助けたいから、ね?』
「…はい!」
にこりと微笑んだ白雪に、オビはクレアが触れた胸に手を置く。
「…とまってないわ」
「え?」
「心臓」
『だから、とまってないって言ったでしょ?ほら二人とも早く行くよ!』
クレアは白雪とオビの手を自分の両手で掴むと、前へ進もうとぐいぐいと、引っ張る。
「わ、わ、クレアさんっ!?」
「急がなきゃならないのは分かるけど、手を繋ぐ必要あるかい?」
『三人で雪の上に寝転がるのも楽しかったけど、そんな事してる場合じゃないからね。だから、そんな事が起こりそうになったら次は三人かわせるように、ね』
ぎゅっと、クレアから握られた自分の手を白雪は見る。
「…あったかい」
『そう?』
「クレア嬢、子供体温だもんね」
ははっ、と笑うオビの声がクレアを挟んで聞こえたが白雪は繋がれたクレアの手を、自分からぎゅっと握り締めた。
『…?』
「(クレアさんの存在は、不思議と暖かくなる)」
繋がれた手はこの寒い時期には、とても暖かく感じるが白雪はクレアの存在、行動、発言がいつも周りを暖かくさせてくれると思った。
『白雪、大丈夫?』
「あっ、すいません。ぼーっとしちゃって大丈夫です!」
『良かった、何度も言うけどあたし達には時間がない。辛くなったらすぐ言うんだよ』
「はいっ!クレアさんもですよ!」
言い返されると思わなかったクレアは、一瞬目を丸くさせてから、敵わないなぁと笑った。
「『あ、オビもだから…あ。』」
「はいはい、分かってますって何もハモらなくても」
白雪とハモるようにオビに注意すると、思わず顔を見合わせて笑い合うのをオビは微笑ましそうに見てから、息を一つつく。
「んじゃ、仕切り直して早いとこやっつけようやお二人さん」
「『うん』」
繋がれた手はそのままに雪道を三人並んで進む姿が、そこにはあった。
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時