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   〜閉門(5)〜 ページ17

二人は少し壁の続いた先にある小窓程の、小さな冊の場所へと来ると、オビは馬から降りその小窓越しに立つ。


「なんか、あれだね」

『あれって?』

「いやーなんだろ、会っちゃいけない人と会ってる感じってゆーの?」

『…ふふ、そーだね。なんか分かるかも。この黒い鉄格子みたいなのがそうさせてるんだね、きっと』


こんこん、と冊を指で弾くクレアにオビは、だね。と笑った。


『西の関所に行くんだってね』

「なんか兄殿下が、仕組んだみたいだよ」


先程と同様、冊の隙間から腕を伸ばし髪へと伸ばすオビの手を、クレアは受け入れる。


『イザナ様なら、やりかねないよ』

「主も、そう言ってた」

『でしょー?ゼンは何度そうされてもイザナ様を嫌いになんかならない。兄弟だからね…』


頬に伸びてくるオビの手を包むと、ねぇ、オビ?と呟く。


「ん?」

『どんな経緯にしろ、来てくれてありがとう』

「はは、なんだそんな事かー。何かねだってくるのかと思ったよ」


そんな事とは失敬な、とクレアはオビの手をぱっと払いのけるが怒っている和気ではない照れているのだ。それはオビも分かっているので、ははっと笑う。


『…じゃあ、これからも傍にいてよね』

「ぷはははっ」

『もー知らない』

「ごめんごめん、でも惜しいなほんと」


口元を手で押さえて笑いを堪えるオビに、言うんじゃなかったとクレアは後悔した。


「この冊なんか無かったら、抱きしめるだけじゃ足りないね、きっと」

『えっちー』


べーっと、舌を出してまたお互いに笑い合うと拳を突き合わせると、互いに向かうべき場所と向かった。




少し、先を行った場所でオビはクナイをいじりながらゼンを待っていた。


「主、出ますか?」


馬を走らせ戻ってきたゼンは何も言わずに、オビを見た。


「…?そんな見つめてると抱きつきますよ」

「おまえとクレアは、一緒にいた方が動きやすいかと考えてる」

「そりゃあ、まぁ…」

「オビ、残るか?」


いつものオビの冗談などお構いなしに、真剣な表情でゼンは提案する。


「…主のご命令とあらば」

「よく言う」






門の周りでは兵達が慌ただしく閉門作業に終われていた。


「七名は、門外の詰所で待機。閉門!」



そして、薬学の館では…


「!?どうした」

「う…」

「おい!大丈夫か!?」



新たな犠牲者が、また一人。原因不明の病に蝕まれていた。





「閉門、完了しました」



全ての門が今、閉ざされた。




.

第37話〜病の原因は?(1)〜→←   〜閉門(4)〜



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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 従者   
作品ジャンル:ファンタジー
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時

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