〜助手のルーエン(5)〜 ページ1
「ハキどの!!」
「あの女は時々、ここらの視察に来てるんだよー」
とても聡明そうな顔立ちの彼女が手を振っているのにユズリが手を振り返しているのを見ると、白雪は視察という言葉でクレアも城に居ない事を聞かされた事を思い出した。
「クレアさんも、そろそろ目的の場所に着きましたかね、リュウ」
「北の城に行ってるなら、もう着く頃…かな」
二人で顔を合わせて話す姿に、ユズリも鈴も誰の事を言ってるのか気になった様子だった。
「えっと…友人が、この先の場所に出向いてるのでもう着くんじゃないかなって話してたんです」
「ふーん、それって男?女?」
「え?あ、女性ですけど…」
鈴の問いかけに、またかと、恐る恐る答えれば目が輝いたのがリュウにでもわかった。
「へー、そりゃあ是非ともお会いしたいね」
「はいはい、その人この先に行っちゃってるんだから会えないって。それよりシダンさんは若い頃もここで研究してたらしいから館内のこと色々聞くといいわよ!」
「そうなんですか」
食事を摂っている周りでは未だに、リュウを見つけ騒いでいる学者やら、薬剤師達がいた。
「私達、この地域の薬事の状況を調べに来たんですけど。報告が上がってこないとのことで」
「あー、この辺の研究って北方独自のものが多いから研究者が、あんまり情報開示したがらないんだよねー。まー調べたきゃガラク・ガゼルトの名前振りかざしちゃえば早いんじゃない」
「…薬室長って一体…」
さらりと凄いことを言った鈴に、白雪はガラクはどんな人物なのか分からなくなってしまった。
「じゃあ、いろんな人にあたって自分達でまとめてみましょうか」
「そうだね」
少し目を虚ろにさせているリュウを見て白雪は、くすりと笑う。
「とは言え、長旅でしたから明日からに備えて今日は早めに休みましょう」
「うん、眠い」
ユズリと鈴に別れを告げた後、白雪とリュウは自分達に宛がわれた部屋へと戻ってくるとベッドに体をゆっくりと沈めた。
「では、リュウおやすみなさい」
「おやすみ」
そう言って、布団をかぶって天井を見れば思い出すのはウィスタルにいる人達の事。
「(…と、こうやって一息つくとウィスタルのこと考えるようになってるなぁ)……」
何故か恥ずかしくなり、布団を顔まで被るとリュウが声を掛けてきた。
「白雪さん」
「はいっ?」
「あの、今日…」
「?」
いつになく何かを思い詰めた表情のリュウに白雪は首を傾げる。
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クレア(プロフ) - 奏萌さん» 約2ヶ月掛かってやっとこのブックが埋まったわー。 (2015年10月23日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 萌も更新しなきゃ(笑) 明日はのぶくん生誕祭 (2015年10月23日 22時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 奏萌さん» んー、まぁまだまだ痛いけどがんばる笑 ありがとーお待たせ! (2015年10月23日 0時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
奏萌(プロフ) - 大丈夫?!久々の更新だね!待ってたよ (2015年10月23日 0時) (レス) id: 909270ad00 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - 水琴鈴さん» たぶん、また更新するから笑っ (2015年10月22日 22時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年8月26日 19時