〜王家の友人と再会(5)〜 ページ9
未だ文献に目を通したラジに、クレアはきっぱりと言い放つ。
『偉そうです、その割りにご自分一人では何もする事が出来ないではありませんか?』
「ぐっ…はっきりと言い過ぎではないか」
『はっきりと言ってくれる方はこの城に、何人いますか?』
「……サカキがいるではないか」
ちょっとムッとしながらラジは言い返すと、クレアはそれから?と言葉を続けさせようとする。
「父上に、ロナがいる」
『そうですね、きっとあの方達ならはっきりと言ってくれます。しかし、身内よりも多くの人々がこのタンバルンには暮らしています。その方達を守り、そして、慕われていかなければラジ王子は本当に、名ばかりの王子になってしまいます。』
「私も、それではいけないとわかって…る。だから…」
クレアの気迫に多少、驚くが食い下がろうとするが、クレアの言う通りであると言葉を濁していく。
『だから、国政の勉強をしていらっしゃるんでしょう?皆に認められ、胸を張ってタンバルンの王子であることを誇りたいのでしょう?』
「ああ、君らに出会ってから、そう思うようになった」
『誰かに何かをして貰いたい時は、どんな身分であろうと頭を下げねば相手への誠意は伝わりません。』
「ああ」
長く説教みたいに話してしまったが、凹むどころか真剣に話を聞いてくれるラジの眼差しにクレアは目を丸くさせた。
「クレアどの?」
『いや、やけに素直だなーと』
「私も、やる時はやる男だからな。…ごほ。まぁ今度そういう場面に出くわした時は、クレアどのの言う通りにしよう」
一つ咳払いをしてから、少し照れ臭そうに頬を人差し指で掻くラジをくすりと笑った。
そして、ラジはクレアとの約束を守る時がやって来たのだ。
「(…ええい)ーー皆。頼む、どうあっても逃すわけにはいかんのだ。力を貸してほしい」
広場にいる人々の前で、偉そうな態度を取るではなくただひたすらに、誠意を伝えた。ラジがクレアとの約束を守った瞬間であった。
「頭ァ!前方に三隻、船です」
「あん?゙山の獅子゙か?」
「まだわかんねぇです」
゙海の鉤爪゙の進路を阻むかのように前方に現れた三隻の船を警戒するように乗組員は、ウミヘビに状況を報告した。
「゙獅子゙どもならあのお嬢ちゃん達との関係、直接反応見て探ってやるか」
「゙獅子゙が黙りゃあ稼業がやりやすくなるぜぇ」
「こっちにゃ、鹿月もいるしな」
男達は余裕の笑みを浮かべていた。
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時