〜王家の友人と再会(3)〜 ページ7
「出港ーー!!」
港から船員の声が轟くと、船は船着き場からゆっくりと離れていった。
「無事でいてよね、クレア嬢」
この船の何処かに捕らえられているクレアを想って、船を見送れば、ゼンもミツヒデも何も言わなかったが二人ともきっと同じことを思っているに違いなかった。
「女頭目にゃ、直接会えなかったでしたね」
「ああ…だが、第一段階はうまくいった」
馬に跨がり次の作戦のため移動する中、変装に使っていた襟巻きを外すと、船にいる白雪を想ってそれを握り締めた。
「木々さん…!?」
「白雪…」
作戦通り船へと連れてこられた木々は、こうして白雪達の元へと来ることが出来たのだ。
「えっ!?何?知り合い!?」
『あたし達の大切な、仲間なんだ。』
クレアは少し憔悴しきった顔で鹿月に、笑うと鹿月は木々の名前を呼んだあとから言葉を発しないことに気づく。
「白雪?」
「……………」
「…そっちは鹿月?大将が心配してるよ」
「!!オヤジが…!?」
少しほっとしたような表情を見せた鹿月にクレアは何も言わず、そっと頭をひと撫でした。
「白雪、クレアうまく会えて良かった。私がここに連れてこられたのは仕向けた事だから安心して」
「木々さん…」
今にも泣き出しそうな白雪に、木々は優しく言葉を付け足す。
「ーーゼンも来てるから」
「ーー…タンバルン…に…?」
「そう、迎えに来た。帰れるよ」
「……!!」
溢れ流れる涙を掬い上げる指の隙間から、ぽろぽろと零れていく。
『帰ろう、みんなで、ね?白雪』
「はい…!!」
涙ぐむ白雪を鹿月は複雑そうに見つめた。
「木々さん、腕縛られたままなんですか?」
「ああ、これ。これははじめから」
「えっ?」
自分達は縄で縛られていないのに、木々だけ何故だろうかと思っていた。
『てか、よくゼンとミツヒデがそんな事許したねー』
「いつもはクレアの役回りだけどね。意外とすんなり了承して貰って助かった」
『あはは、そっか』
空笑いしているように見えた木々は、クレアの肩にゆっくりともたれ掛かった。
『…木々?』
「木々さん!?もしかしてあの人達に、二人みたいに…」
鹿月とクレアが受けたような拷問にでも、あったのではと心配した白雪。
『どうしたの?』
「クレア、オビが心配してる」
クレアの肩口で呟かれた言葉に、体が少し硬直するのがわかった。
『…うん』
「酷い事された、みたいだね」
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時