〜心の底の気持ち(9)〜 ページ50
丸まっていたクレアを横抱きに抱き寄せれば、ふわりと軽々とベッドから持ち上げた。
ゼンも相当、精神が参ってしまってるのかクッションに顔を埋めながら右手を振った。
扉を器用に開け、閉まる直前に肩で扉が閉まるのを防ぎゼンの様子を一度伺う。
今だ、クッションに顔を埋めているので、オビはもう一度、声を掛ける。
「あー、主?」
「……なんだ」
「寂しいなら、やっばり歌いましょうか?」
何を言い出すんだと、顔を上げるゼンにオビは思わず笑ってしまう。
「はは、やっぱいいですか。わかりました、おやすみなさい」
「さっさと、帰って寝ろ。俺の事は心配、いらん」
憎まれ口を叩くゼンに、素直じゃないんですから。とだけ、呟いて私室へと向かう。
規則正しい息遣いで眠る彼女に、少しの悪戯心が芽生えたオビは私室に戻ると優しくベッドへと寝かせてから、クレアの寝顔を眺めた。
「あんまり無防備だと、襲われるよ」
クレアの髪をひと撫でしてから、自分もベッドに体を沈めた。
『…んー…』
「クレア嬢、…起きた?」
身動ぎしたかと思えば、自分の胸元にすっぽりと埋まるクレアにオビは小さく笑う。
「…ちっさ」
言いながらも、髪を撫で、頬を撫で、それから指先で唇を撫でた。
『…くすぐったい』
「あれ、起きてたのかい?」
『あれだけ触られてたら、…起きる、よ』
眠たそうな目で、今は、辛うじて起きている姿にオビは小さな子供をあやすように、クレアの髪を撫で続けた。
『そんな事され、たら…寝ちゃ、うって』
「いーよ、好きで撫でてるだけだからさ」
『んー…おやすみ』
クレアは小さく身動ぎすると、頬に当たる微かな体温で口付けられた事に気付く。
「おやすみクレア嬢、また明日」
『…うん、また、あ、した…』
とろんと、した目で、そう言ってからゆっくりと目を閉じていくのでオビはそれからずっとクレアの髪を撫で続けていると、また規則正しい寝息が聞こえてくる。
そしてまた、起こさないようにクレアの左手を優しく持ち上げると、自分の頬に乗せる。
自分でも正直、何をやってるんだと思ったがしたかったのだから、仕方ない。手に触れているだけでこんなに安心するものなのかと、オビは急な眠気に襲われるとゆっくりと目を閉じたのだった。
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時