〜王城解放日(10)〜 ページ39
一方、舞台袖では座長が怪しげな行動を取っていた。
「失礼、座長さん。主、クレア嬢。この人こんな指示出してましたよ」
「ちょっ」
オビは座長から奪い取った指示を書いた紙を見せれば、ゼンの目は冷えきったように鋭くなる。
「ほう、(姫の髪をあばけ)。白雪が引き受けた仕事だ。口は出したくなかったんだがな。ちょっといいかな騎士どの」
『ふふ、おイタする子はお仕置きしなきゃ、ね?』
クレアは怪しげに笑ってから、姫役の代役の女性に頼み事をしに行った。
「姫よ、あなたは私の妻だ」
舞台では、白雪のヴェールを王子役が暴こうとしている。
「主の前でなめた真似するな、あれは見せものじゃあないんでね」
『少し脚色を加えちゃうけど、構わないよね?』
言いながら風のように座長とオビの横を通り過ぎたクレアを誰も止めることは出来ずに、舞台へと真っ直ぐ向かって行った。
『王子!…わたくし…あなたをずっとお慕いしておりました!』
「…き、君は!?(え、ちょ…誰?)」
「(ク、クレアさん!?)」
徐に飛び出したクレアは真っ直ぐ王子へと向かい、白雪のヴェールにかかった手を自分の胸へと抱き寄せた。
『…ずっと貴方様の背を守り続けていました。貴方様の幸せを祝わなければいけないのに…わたくしはいつの間にか貴方様をお慕いしてる気持ちが抑えれなかった…(白雪のヴェールは外させませんよー)』
「………(待ってください!状況が全く…これも座長の指示で)」
『この方と、結ばれるのですね…(分かってます、適当に合わせて)』
こそこそと行われるクレアと王子役との会話に白雪は、おどおどとしている。
「…私はこの姫を妻にする(……無茶言わないで下さい)」
『…………なら』
クレアは、貸衣裳のドレスから短剣を取り出すと寂しげに、笑う。
『姫を殺し、わたくしも死にます』
「なッ…!?」
舞台を観に来ていた客も、クレアが舞台に出てきた事によって先程までと違った殺伐とした空気にざわめき出していた。
王子に向けられていた短剣を、姫役の白雪へと向けクレアはその手を振り上げる。
「お退がりを姫。姫を守る剣はまだ私だ」
白雪を抱き寄せ、クレアの短剣を止めたのは騎士役の格好をしたゼンであった。
「……えっ!?」
「……!!」
思わず、驚きを声に出してしまった王子役と目を見開くだけの白雪にクレアは口パクでごめんね、と謝った。
.
306人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時