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   〜王城解放日(8)〜 ページ37

「そ、そうですよ!代役の方とかは…」


その手があったとばかりに白雪が言えば、遠慮がちに手を上げた足を怪我した女性の内のもう一人。


「……」

『あちゃー…』

「とにかく患部を固定します」


フードを取り少し長くなった髪を括れば、女性達も座長も目を見開き驚いた。


「!!」

「赤い髪!?」

「あなた、その髪綺麗ねぇ…!」

「ありがとうございます!」


黙々と患部を固定していく白雪は、座長の怪しげな目線にクレアは目を細めた。


「あっ歩ける…あいたたたたたた、いたいいたい!!」

『無理しない方がいいんじゃない?…もしかして』


オビの腕を借り立ち上がった女性の患部にそっと触れたクレアはリュウへと視線を向けた。


「骨が折れてる。無理に動くと長引くよ、お姉さん」

「……」

『ね?だから、座って』


クレアも女性を心配して、足に負担にならないように肩を貸し座らせた。


「あんた、代役を頼めないか!?」

「…!?むっ無理です!」


何を言い出すのか、座長はあろうことか白雪に代役を頼むと白雪は首を横にぶんぶんと振り拒否を示した。


「座長!?」

「ラストで姫が出ないわけにはいかんだろ!!」

「……そうよね、それだけは…」

「王子と騎士が空しいったらないわ…」


クレアも頭の中で、姫のいない劇を想像してみたが皆の言う通り、空しくなった。


「私達からもお願い!大丈夫!ウチは剣舞が売りで終盤の主役は王子と騎士だから!」

「えっ…」

「台詞は私がそでから言うから」

「い、いやあの」


まさか患者達である彼女達にも説得されるとは思わなかった白雪は、助けを求める目でクレアを見た。


『別にあたし出てもいいけど』


クレアは、白雪の代わりに出ても良いという声にオビは、訝しげにする。


「…お嬢さん、まだ目立つ場所に出たくないんじゃないですかね…?」

「……まぁ、そうだろうが……」


ゼンも白雪の気持ちには気がついていた。


白雪の頭の中では、海賊に捕まった時の事を思いだしていたのか体が震えていた。


「ーーー…ッ」

『白雪…』

「大丈夫です、クレアさん」


白雪は一度、大きく深呼吸をしてから、今は自分一人ではないことを自分に言い聞かせる。


「…その役、何か被って頭を隠しても…?」


そう言う白雪の体の震えは止まっていた。


「…ええ!元々ヴェールをつけてるから大丈夫よ!」


彼女らが怪我人であるという事実の方が、白雪にとってはでかいようだ。




.

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 従者   
作品ジャンル:ファンタジー
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時

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