〜王城開放日(2)〜 ページ31
「オビ!お前、この行事知らないだろ目を通しておけ」
「はい、主」
窓枠を飛び越え、ゼンから受け取った資料をぱらぱらと捲って内容を読み込んでいく。
「これ、大変なのは見張りの衛兵ですね」
「そうだな…当日の夜に差し入れの手配でもしておくか」
『あたしはクッキーでいいよー』
木々に煎れてもらった紅茶を一口飲みながら言えば、案の定ゼンに嫌な顔をされる。
「何でお前にやらなきゃならん、それに今、食ってるだろ」
『あちゃー、バレたか』
「バレるでしょ、そんなしっかり食べてんだから」
『あ、オビも食べる?』
こんな事も日常茶飯事なのか、クレアはオビの口元へとクッキーを近付けた。
「また後で貰うよ」
一方、薬室の白雪は…
「市民が城を見学すると言っても、まぁ、我々薬室は通常業務だから」
「わかりました」
王城開放日が、初めてなのは白雪も同じでガラクから軽い説明を受けていた。
「ゼン王子が好きそうな行事ですね」
「ああ、あの方はそうね」
ー 王城開放日 ー
「増員組も持ち場につけ!今日は人が多い。しっかりな」
「了解ー」
「頼んだぞ」
衛兵の集まる部屋から顔出したゼンに、場は一気に引き締まる。
「!!!」
「殿ッ…」
「ゼン殿下!なぜこんなところに」
「はっ!お任せを」
敬礼する者、慌てる者もいたがゼンの後ろにいる人物に目が行った。
「な、クレアどのまで…」
『ふふー、頑張ってねー』
「は、はい!!」
クレアは軽くウインクをする、この行為はクレアにとっては深い意味もないし、挨拶だと思っているのだが彼らにとっては、色んな意味で衛兵達の士気が上がったのは言うまでもない。
『ふふ。みんな、元気だねー』
「…ん?ああ。頼りになるな」
そんな事は知る由もないゼンは、素直にクレアの言葉に頷くて、少し眩しそうにしながらゆっくりと空を見上げた。
「今日は賑やかになるな」
『一年に一度だけの行事だからね、ゼンも頑張らないとね』
クレアもゼンにならって空を見上げ、大きく伸びをした。
「ああ、そうだな」
「なーに、二人で良い雰囲気作り出してんですかー」
『なーに、ヤキモチですかー』
クレアはオビが近くに居たことを知っていたようで、同じような口調で言い返す。
「どうした、オビ。何かあったか?」
「いえいえ、クレア嬢を着替えさせてこいってハルカ侯爵直々のお達しで、迎えに来たんですよ」
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時