〜父、武風(15)〜 ページ29
「…うぉ…ッと……」
『こんなイイ女と踊るんだから目一杯、目立たなきゃね』
オビを自分へと引き寄せたクレアは、妖艶に笑ってからリップ音を小さく鳴らしオビへと触れるだけの口付けを送った。
「クレア嬢、ここどこだと思ってんのさ。」
『あら、今宵は夜会でしょ?少し羽目を外した従者の戯言だと思ってくれるわ、きっと。勿論、リードしてくれるのよね、王子様?』
「それは勿論、お姫様。では、改めて私と踊って頂けますか?」
『喜んで。』
くすっと笑ってから、お互い引き寄せられるように再び口付けると腕を取り腰に手を添えるとワルツのリズムに合わせ軽やかに踊った。
「あ、クレアさんとオビだ…」
「む…ああ、本当に踊れなかったのか?」
一曲踊り終えた白雪とラジが、見ているとクレア達二人が白雪達に気が付いた。
「終わったみたいだね、あっち」
『みたいだね、名残惜しいけど行かなきゃ』
「行っておいで、あ、それと」
腰に添えていた手をおろすと、間近にオビの顔。
「言いそびれてたけど…ドレス、似合ってる。脱がすの勿体ないねー」
『…馬鹿…じゃないの』
耳元で低く囁かれた言葉に、頬を少し火照らすも直ぐ様、背を向けたので気付かれてはいないだろう。
クレアは真っ直ぐ、ラジのいる場所へと向かって行った。
『遅くなって申し訳ありません、ラジ王子』
「いや、その、か、か、構わん。」
「クレアさん、私、失敗せずに踊りきれました!」
『ふふ、良かった。ラジ王子、よろしければ私とも踊って頂けますか?』
ドレスの裾を摘まんで、お辞儀をするクレアに白雪とラジは一瞬、見惚れてしまう。
「…………あ、ああ!勿論、受けよう」
『ふふ、良かった』
ぎこちなく腰に手を添えるオビにまた笑ってから、クレアはラジの肩ではなく胸へと軽く手を添えた。
「…相変わらず、ずるい人だ…」
『何の事でしょう?』
意味ありげに笑ってから、クレアはラジのリードに身を任せ踊った。
ー 翌朝 ー
『また、城に来ても?』
「構わんが、だが何故…?」
『姉と呼んでくれる可愛い双子に会いたいので』
「!…ああ、二人も喜ぶ」
クレアは、その言葉に満足そうにしてから馬車へと乗り込んだ。
「行ってしまいましたね」
「うむ」
サカキに言われ小さく返事をしたラジは、自ら馬車に向かって深々と礼をした。
「…お前も下げろサカキ」
「私は以前しましたが」
「だからなんだ」
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時