〜父、武風(10)〜 ページ24
花輪をしっかりと持っている事を確認してから、それほど大きくない声でオビは声を出す。
「クレア嬢!」
クレアは一度、こちらを見るとすぐにこちらへと舞いながら少女の前へと立ち止まる。
「あ、あの…これ」
『ふふ、素敵なお花の冠ー、これ、あたしに?』
「うん!」
クレアは、両手を広げ足をクロスさせると少女に頭を下げれば、ふわりとクレアの頭に花輪を落とされた。
『どう、似合う、かなー?』
「すごく、可愛い!」
オビの腕の中にいる少女がそう言えば、オビにも同意を求めるように少女は、目線をオビへと向けた。
「いーね、似合ってるよクレア嬢に」
『ふふー、ありがとー』
少し照れたような表情で、くるりとターンしてから少女にお辞儀をすると、また音楽を奏でる男達の中心へと戻っていった。
「ありがとう、お兄さん」
「いえいえ、どういたしまして」
そう言って少女を地面へとゆっくり下ろすと、他の子供達に連れられ、何処かへと行ってしまう。
それに軽く手を振って見送れば、羽音が耳を掠めた。
「やぁ、珍しいね。お前が俺の肩に乗るなんて」
言わずとも分かるだろう、トワがオビの肩に少し荒々しく降り立ったのは、見間違いではないだろう。
「も少し優しく降りてきてくれると、嬉しいんだけどねぇ。…聞いちゃいないか。」
聞いていない所か、肩に爪が食い込んで少々痛い。どれだけ嫌われてるんだと苦笑しながら、近くのテーブルに置かれていたフルーツに手を伸ばす。
「良かったら食べるかい?」
どうにかして少しは気に入られようなんて思ったのも束の間、いつの間にか手にあったはずのフルーツが手元から消えていて、犯人はトワではなかった。
「…踊ってたんじゃないの?」
『寂しそうに、トワに話し掛けてるから来てあげたんだけど?』
悪戯っぽく笑い、下唇をペロリと舐めるクレアにオビは見られてたのかと思いつつも、そうでもないよ。と答える。
「珍しく俺の肩に乗ってきたもんだから、相手してあげてたんだって」
『トワ、寂しかったの?ごめんねー』
クレアが声を掛けるとバサバサとわざとらしく羽音を立て飛び立つと、クレアの頭上を旋回する。
「俺だけ、この扱いなの何とか言ってやってくんない?主とか旦那には、普通のくせにさ」
『ヤキモチ?』
「いや、普通に嫌でしょうよ」
『トワ、そろそろ認めてもいいでしょー?』
ダメ元で言ってみたが、どうやらまだ時間はかかるようだ。
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時