〜山の獅子(10)〜 ページ3
「戻ったら船出すよ」
この言葉に、三人は呆然とするしかなかった。
「了解」
「おい、さっさと来い!」
『痛いってば…、そんな引っ張ったら見えちゃう…』
クレアも無理矢理その場に立たされると、しおらしく男にもたれ掛かった。
「……お、おい、何してんだ」
『何って…』
「…ぬわっ!!」
『憂さ晴らし……ってとこ?痛ッたた…』
しおらしかった態度は何処へやら、クレアは男が少し油断した所を頭突きを食らわした。
「クレアさん!?」
『へーき、へーき…ッでも、無いかもー…』
へらへらと笑っていた顔は一変、クレアの何倍もある巨漢な男がクレアの腹部を殴った。
『ぐは……ッ……』
「あまり調子に乗るな、銀髪の嬢ちゃんよぉ」
軽々とクレアをたて抱きにすると、船の貨物を奥部屋へと連れていかれた。
「大丈夫…?」
「………うん…」
「クレアさんも、あまり無茶なことしないで下さい。それに騒ぎを起こして私達だけを逃がそうとするなんて、あまりにも無茶です!!!」
『……ごめん、白雪』
白雪と鹿月がその後、その部屋に連れてこられるとすぐに白雪からお叱りの言葉を受けたクレア。
自分が囮になって騒ぎさえ起こせば、白雪を逃がせるかもしれないと考えていたクレアの考えはどうも甘かったようで、余計な心配をさせてしまった事に反省をした。
「しばらく…動かない方がいいよ」
「…………白雪は…訊かないの…?俺が…何者で、なんで白雪を探してたのか」
鹿月は何も言わずここまで、ついてきた白雪に声を震わせながら聞く。
「城で…あなた達がオビとクレアさんを傷つけた以上、どんな理由を聞かされても全部を信じるわけにはいかない。だから全部…帰れた後でいい、ここから無事に…!」
「……!……クレアごめん…」
『言いたいことは白雪と同じ、三人でここから必ず生きて帰る。オビは、そんなやわな男じゃない。でも謝ってはもらうからね』
白雪とクレアの言葉に、目に涙を溜め泣きそうになりながらも鹿月は言葉を絞り出した。
「ーー…わかった…!!」
「出港ーーー!!」
「『!!!』」
涙を溢す暇もなく、部屋の外から聞き逃す筈もないその言葉に、三人は耳を疑った。
「だめだ…カギをかけられたから…!」
即座に扉へと走った白雪は扉を開けようと試みるが、案の定、鍵を掛けられていた。
『壊す体力も、使えそうなものもここには……ない、ね』
「くそっ…!!」
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時