〜山の獅子(8)〜 ページ1
「獅子のおっさん、あんたらが探してた娘はお嬢さんとクレア嬢だけかい?」
「?ああ、そうだ。もう一人の嬢ちゃんも噂では聞いていたが、まさか一緒だったんだな」
゙山の獅子゙でさえも、クレアの事は曖昧にしか知られてなかったとはいえ、゙海の鉤爪゙もそうであるとは限らない。オビは、目線の先にある酒場を一度見てから、にっと笑った。
「それじゃあ、どうやらビンゴです。(゙山の獅子゙が手に入れようとしている娘達)について、゙鉤爪゙が情報を集めてるらしい」
「!!!」
オビの伝達にその場にいた全員は、弾かれたように顔を勢いよく上げた。
「追いついたぜ…人に酒ぶっかけて逃げやがって!覚悟できてんだろうなあァ!?」
「お」
どうやら、穏やかに情報収集をしていた訳ではなさそうで柄の悪そうな男達が、オビを追って怒号を振り撒いていた。
「……ん?」
「間抜けが…追わされたんだよ」
ゼンの一言で、ミツヒデと木々は剣を抜き男達を叩きのめすと、オビはロープで男達の身動きを封じた。
「ああ、見たよ…゙鉤爪゙の船に美形のガキが…!!カツキだかなんだかって…」
「なんか、わめいて…船に乗せられるところを見ただけだ…!!女は一人だけ…」
襟巻きをした男は小さな声で呟いた言葉に、ゼンとオビが詰め寄る。
「どんな、女だ!!」
「正直に答えないと、…わかってるだろうな」
「ひぃ……、ぎ、銀髪の女だった、確か。その女も無理矢理ロープで腕を巻かれて……」
そこまで言った男は、段々と声を細めていくと二人の目を見ることが怖くなり目を伏せた。
「主…」
「ああ、きっとクレアだ」
「頼む!役人につき出すのはやめてくれ!」
髪を括った男は、自分の身が可愛いのか許しを乞おうと何やら叫んでいるが、大将の男は鹿月の心配をしていた。
「鹿月……!」
「白雪もそこに居る可能性が高いな…」
「ああ…」
ミツヒデは木に凭れながら言えばイトヤが、小さく返事を返す。
「船があるなら尚更だ、だが、人質を取られているようなものだ。仕掛けようにも分が悪い」
「主」
オビのゼンを呼ぶ声には、ゼンは返事をすることもなく酒場町に視線を強くさせた。
男達が最後に見た鹿月とクレアは、無理矢理、船の中へと連れ込まれた後、息の詰まる拷問が待っていた。
「…ッ、あ…あなた達早くやめて!!こんな…」
白雪は船の中心の柱に同じくローブで体を拘束され身動きが取れず見ているしか出来なかった。
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クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時