〜偽装見合い(６)〜 ページ10
「ミツヒデさん、相手が主だから穏やかなもんですけど」
「ん？」
「相棒どのの隣に芝居じゃない誰かがあの距離感で立ってたら、黙って控えてはいないんじゃないですか」
その瞬間、空気が一瞬冷えきったかと思えばミツヒデは何事もなかったかのように口を開いた。
「…俺をゼンみたいにからかえると思ったら甘いぞ、オビ。それよりそのままそっくりお前にも返す」
「ははは、怖いなー。それと想像力がないな旦那は」
『本人を真ん中に何を言い合ってんのよ』
馬鹿みたい、と言ってからふと、思い出したかのようにクレアはミツヒデを見る。
「いや、想像しろっていうならするが…。それこそ、木々の隣に立たせたくない厄介な奴なら五年前から…」
「………からかえてますよね？」
オビもその空気を敏感に感じ取ったのか、恐る恐るミツヒデを見る。
「…さあなあ…」
「空気が物騒になってますって」
『色々あったんだって、聞いてやらないであげて』
きっと彼の考える人物と、今、自分の思い起こしている人物は恐らく同じ筈だ。
「オビ、おまえ今回の事、中途半端に茶化して白雪に伝えたりするなよ、今みたいに。クレア、見張っといてくれよ」
『ん、わかってる』
「そんな、自分から主のげんこつに頭突っ込む真似しませんよ」
軽く笑うオビを、ミツヒデとクレアは横目で一瞥してから木々とゼンへと視線を戻した。
「すまんな。木々は城でもドレスは着たがらんのに」
「まあね。剣が遠くなるし」
申し訳なそうに謝るゼンに、程よい距離で佇む木々はいつも通りの口調で答えながら、でも…と話を続ける。
「短剣は仕込んでるけど」
「頼もしい見合い相手だ。候補に名があったのも頷ける」
「頷いてる場合じゃないんじゃないの、この見合いの効力が切れたらどうするわけ、ゼン。当然、クレアを使うのは無理だろうしね」
「…それな。もう芝居を頼む相手もいないしな」
ゼンを見ていた視線を、少し離れて待機しているクレアへと移すと、その視線に気づいたクレアが手を振る姿に木々とゼンも軽く手を振り返した。
しかし、クレアの横にいたオビも嬉しそうに手を振る姿にゼンは、お前はせんでいい。と苦笑していた。
「とは言え…俺に妃を迎える意思を示せっていうのは、望むところかもしれん」
「？」
思わぬ言葉に木々もゼンの顔をじっと見つめる。
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ありす(プロフ) - 何度も読み返してるのが私だけじゃなくてよかったです！久しぶりに読み返しにきました！ずっと更新続いてるのが嬉しいです！！ありがとうございます:)♡ (2022年8月31日 14時) (
レス) @page45 id: 331930e50a (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 最近この小説を知り、一気読みしてしまいました…！素敵な物語をありがとうございます🙇♀️お忙しいと思いますが、いつかふと思い出して更新して頂けたりすると嬉し泣きます😌 (2022年8月6日 18時) (レス) id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
りんごにゃん - 何度も読まさせてもらってます！！更新嬉しいです！！ずっと楽しみにしてましたー！！新刊も出て更新大変だと思いますが、頑張って下さい！続きの更新たっても楽しみにしてます！主人公とオビの絡みが特に好きです！また４人との絡みもとても自然で読むのが楽しいです！ (2021年6月8日 23時) (レス) id: b4b1143c3c (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - この作品に出会えて良かったです！！お忙しいとは思いますが更新お待ちしています。がんばってください！！ (2020年9月15日 14時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
はまゆ。(プロフ) - 何周目かわからないですが見返しました！いつ読んでもとても素敵なお話です。応援してます。 (2020年5月25日 3時) (レス) id: a7b82f401c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2016年2月8日 1時
