〜朝の日課、大晩餐会(15)〜 ページ50
「来たか、遅かったな」
「…兄上!呼んでおいて捜させるのはやめて下さい。それにクレア、お前も呼び出されてたのなら…あぁ、いい。八つ当たりした」
「だそうだぞ、クレア」
『…人を挟んで会話しないで頂けますか。それに今さっき呼び出されたんです、ゼンを起こして引っ張って来るまでに夜が明けるのは避けたかったので』
ふん、っと理不尽な物言いの彼は放っておいて、用はきっとこれだけでは無い筈。とずっと朝日を眺めるイザナの横顔を見た。
「お前達と最近遊んでやってないと思ってな。次はお前達が隠れるか」
『……お戯れを』
「………兄上は捜さないで帰るでしょう…」
本日、二度目の言葉にイザナは、もう一度されたいのか?と口の端を上げたのに対して、ゼンがクレアに目を見開いて見るので慌てて首を大きく横に振った。何も聞いてくれるな、と。
「……」
「書状が届いた、読んでいいぞ」
左手で此方に来いと手招くイザナにクレアは、一歩後ろに下がって柱の左側に控える。訝しげに書状を受け取ったゼン。
「陛下からだ」
「陛…陛下…!?」
『……!?』
内容も読む間もなく、差出人の名前を聞くと大きな声を出すゼンに、クレアも目を丸くさせて驚いた様子。
「読めば分かるが、王位を渡しに戻られるそうだ」
「…本当ですか、兄上」
「冗談を言ってどうする」
心地よい風が彼らの間を通り抜け、髪を擽るように天へと帰っていく。
陽がすっかり昇り、ゼンは残りの三人を前に緊張した面持ちで告げた。クレアもゼンの横で、その様子を見守る。
「そういう訳だ。正式に決まるまで他言無用だが、それも少しの間だ。やる事は山程ある」
「その日はいつ頃に?」
代表して木々がそう聞けば、言い終えたゼンはいっそ清々しそうに
「四ヶ月後だ」
――――――四ヶ月後の後、戴冠式が執り行われる―――――――
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ありす(プロフ) - 何度も読み返してるのが私だけじゃなくてよかったです!久しぶりに読み返しにきました!ずっと更新続いてるのが嬉しいです!!ありがとうございます:)♡ (2022年8月31日 14時) (レス) @page45 id: 331930e50a (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 最近この小説を知り、一気読みしてしまいました…!素敵な物語をありがとうございます🙇♀️お忙しいと思いますが、いつかふと思い出して更新して頂けたりすると嬉し泣きます😌 (2022年8月6日 18時) (レス) id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
りんごにゃん - 何度も読まさせてもらってます!!更新嬉しいです!!ずっと楽しみにしてましたー!!新刊も出て更新大変だと思いますが、頑張って下さい!続きの更新たっても楽しみにしてます!主人公とオビの絡みが特に好きです!また4人との絡みもとても自然で読むのが楽しいです! (2021年6月8日 23時) (レス) id: b4b1143c3c (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - この作品に出会えて良かったです!!お忙しいとは思いますが更新お待ちしています。がんばってください!! (2020年9月15日 14時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
はまゆ。(プロフ) - 何周目かわからないですが見返しました!いつ読んでもとても素敵なお話です。応援してます。 (2020年5月25日 3時) (レス) id: a7b82f401c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2016年2月8日 1時