赤髪の白雪姫【９】

　　　〜偽装見合い(８)〜 ページ12

「ともかくひと安心だ。答えを聞いて自覚したが、俺もどうも悶々としてたらしい」

「へえ」

「主人としては、そりゃあな」




素っ気ない返事の木々はいつもの事なので、こちらへと辿り着いた話中の人物に一つ、文句を垂れることにした。




「ミツヒデは一人で好きなだけ悶々としてればいいわ」

「…何の話を…」




一体、二人で何の話をしてたのか気になった所だったが、その続きになる言葉はひとまず、口に出すのはやめて心の中で留めておくことにしたミツヒデ。




「主、呼びました？」

『あっちは向こうの衛兵に頼んできたけどいいよね？』




ミツヒデの数歩後ろを歩いてきたオビは、待つのも疲れるねーとクレアと笑いかける。




『よく言うよ、今にも寝そうだった癖に』

「そん時は、勿論クレア嬢が肩を貸してくれますよねー？」

「立ちながら寝るつもりか、おまえは。」



呆れた様子でオビを見るゼンに、クレアがぼそりと呟く。




『構造上、どう考えても無理だから。あたしとオビの身長差を考えても、せいぜい肩じゃなくて頭だからね、頭。』

「ぷっ……ははは、それもそうだね。いやー、悪かったよクレア嬢ー、また今度眠そうになったらこうやって貸してくれるかい、あ・た・ま。」




後ろから抱き締めるかのようにクレアへと覆い被さったオビは、楽しそうにクレアの頭上へと顎を置いたのだった。



「丁度だな」

「顎置きだろ、それじゃあ」

「ははは、ですってクレア嬢ー」




ゼン、ミツヒデがその姿を見て見事にクレアが、顎置きと化しているのに納得の声が掛けられると、けらけらとオビも楽しそうに笑った。




『…………言いたい事は言い終わったかしら？』

「…はい？クレア嬢、どうか……うっぐ！？」

『言いたい事は言い終わったのかって聞いたんだよ、このっ、ばかー！！』




今まで大人しくしていたクレアの下からの動作と共に、急に猛烈な痛みが走ったかと思ったのも束の間、一瞬何が起こったのか分からなかったオビは、足元が少しよろめいた。




「お前が悪いぞ、オビ」

「顎置きにされたら俺でも腹が立つ」




ゼンの謎の発言に、顎を擦りながら、主もそんな事が？とにやついた。




『…お仕置きが足んないみたいね？』

「い、いやクレア嬢、ご、ご勘弁を、、そうだ！色っぽい話はしましたかお二人」




さーっと血の気が引いた様子のオビに、向こうでやってくれと呟いたのに対して話題を変えようと、話をすり替えるオビ。





.

　　　〜偽装見合い(９)〜→←　　　〜偽装見合い(７)〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す