〜出会い(9)〜 ページ9
「ありがとう」
「なんだ白雪」
なんで正座?と首を傾げるゼンはというと解毒剤を貰い、椅子に腰掛け休んでいた。
「力を貸してくれて…けどごめんなさい。私は…ゼンの毒にしかならなかった」
それにクレアさんまで、巻き込んでしまった…と俯く白雪に、ゼンの後に解毒剤を含んだクレアが、さらっと告げた。
『その責任はあたしが…』
「え?」
「なんでお前が…?」
「そうだぞ、クレアも被害者だろ」
「…」
反論するゼンとミツヒデ。困惑する白雪。木々はクレアの言葉を待ってるように見えた。
『毒林檎かもしれないって、気付くのが遅れた。最初に一つ食べたときは、あまりにも微弱の毒だから気付かなかった…でも、二つ目の林檎で』
「毒素が回って倒れたってことか」
それを肯定するように頷くクレアに、ゼンは難しい顔をする。
『ごめん、色んな薬に耐性を持たせるために鍛えたのに、服用したのがどれも強力すぎて並の毒素に体が、反応しなかった』
「ある意味すごいですよ、クレアさん」
『これくらいしか、出来ないから…』
「おいおい、それは笑うところか?俺とクレアが口にした毒の林檎とお前が同じ赤だからとかそういう?」
「…なんか違う」
はははと、面白そうには見えない笑い方をするゼンに木々が口を開く。
「大丈夫、白雪が謝ることじゃないよ、それにクレアも。ゼンが自分で食べたんだから」
クレアが食べて倒れたのを直に見て、分かってたのに食べたんだから、と付け加えた。
「ゼンと私達が思慮に欠けてた、以上!ミツヒデなんてゼンが死んだら俺は死ぬとか涙目になって」
「わかった、わかった!悪かったよ。今度からは果物はミツヒデに剥いてもらって食うよ…」
目を細め明後日の方を見るゼン。
「そういう話か、今の!?」
『じゃあ、今度からつまみ食いは一度だけにするよ』
「クレア、それもっと違うぞ。それにつまみ食いは行儀悪い」
こら、と呟くミツヒデにクレアは煩いな、と返す。
「とにかくだ、気にするな。俺が勝手にやったことだ」
『ん、わかった』
「ちゃんと解毒剤飲んだ、クレア?」
『うん、飲んだ』
嘘ついてないだろうな、と未だに言うミツヒデは放っておくことにした。
「白雪…俺が森で言ったこと覚えてるか?俺としては今、お前といることは、運命の方だと嬉しいんだけどな?」
同じ目線に屈んだゼンはクレアが茶化しに来ないか心配したように、こっそりと伝えた。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時