〜謎の病(5)〜 ページ49
『オビ…』
「ん?」
盾になってもらった状態でクレアは、オビの頬に手を這わせ、オビを心配する。
『ごめんね…』
「…」
ガタッ
「おい、すごい音がしたぞ、大丈夫か…なっ…」
ゼンにはクレアとオビがいう雰囲気で、まさにキス寸前に見えた為、目を疑った。
『あー、ゼン、ごめん。探してたら、ちょっと落っことしちゃって、で、オビが庇ってくれた…?』
「何で疑問系なんだ」
それに、その手!と、言うゼンにオビとクレアは、あ…と漏らした。
「えーっと…」
『薪が、オビの頭に当たって、泣いてたから…』
最後の方は、自分の嘘があまりにも無理くり過ぎて面白くなってしまい声が震えてしまったので、ゼンは、はぁっと溜め息を漏らす。
「遊ぶなよ、クレア。次やったら承知しないぞ」
『はーい』
オビも、こいつの遊びに付き合うなよと念を押してから部屋を出ていった。
「怒られたねー、それにしてもあの嘘は無理矢理すぎだって」
『あははーごめんねー。でも、ほんとに大丈夫?』
背中についた薪くずやら、埃を払っているオビにもう一度心配するクレアに、そんな柔じゃないよと笑ったオビ。
「でも、少し惜しかったかもね」
『何か言ったオビ?』
「いいや、何でもない。さ、主が何か呼んでるみたいだし、行こうか」
『…?うん、行こっか』
確かにどこからか自分たちを呼ぶゼンの声が聞こえたので、オビに手を貸してもらい薪の上を跨いだクレアは、その部屋をオビと共に後にした。
「ここは…武器庫か」
「あんま関係なさそうですね」
武器庫の扉を開け、三人は中を覗いた。
『あちゃー、やられたね』
「…あれ?」
ゼンは一足先に、ミツヒデと木々の所に戻ると言って、部屋を去っていった。
『オビ』
「何か見つけた?」
クレアは、部屋の奥へと進んでいき窓枠に目を凝らした。
『この痕…』
「主たちに報告しないとね」
窓枠には、何かで引っ掻けたような真新しい傷が残ってあり、オビはニヤリと笑った。
『あたし達の出番かもね』
「腕がなるねぇ」
『とりあえず、戻ろっかー』
その部屋を最後にクレア達も、砦の見晴らしの良い場所へと移動し、ミツヒデと木々と合流する事にした。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時